【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
[88:お別れの日に歌ううた(2008/08/16(土) 02:16:05 ID:lC/lNlNI)]
また、私は。
自分のしてしまった行為に半ば後悔し、薬の微睡みから目覚めると教会跡の固い床ではなく、柔らかなベッドの上にいた。
胸の傷が痛い。血が滲んでいるんだろうなぁ、と思って触れたら包帯が巻いてあった。
「起きたか」
つかつかとこちらにやってくる男──私を抱いた。血を吸うから魔物かとぼんやり思っていたけど、クリエイターだったとは。
「ここは」
「俺の家だ」
「どうして壊してくれなかったの。ここで壊してくれるの」
「嫌だね」
「どうして、」
男がたくさんの小瓶を取り出す。私の薬…。
「媚薬に避妊薬に体力増強剤に痛み止め、って所か?どれも非合法の劇薬だ」
「捕まえるの」
「いや。何故こんなにも服用した?」
「壊れたかったから」
「相方に振られたからか?」
「!!」
目の前のクリエイターをきっと睨むが、彼は意に介さず続ける。
「顔、というか金の瞳を見て気付いた。あんた、臨公で俺と組んだことあるだろ」
記憶を探る。確か、かなり前に一度だけ。
「臨公広場じゃ結構有名だった。群青色の髪のハイプリースト、リオ=ストイケイア。相方に一途で、でも臨時でひたすらに至高の支援を目指して、いつからか退魔師になったよな」
「私が悪いの。置いて行かれても仕方なかった。それでも、喪失が大きすぎて。全部忘れて至高の支援を再び目指そうとして、突っ走って、体にガタが来たの」
「それで、自棄になって薬漬けか?」
「違う。それでもだましだまし体を保たせるため。でももう限界だったみたい。あの時付けた傷が、未だに私を蝕む」
「ヒールは?」
「効かない。戒律に反して付けた傷だもの」
笑う。きっと壊れた笑みなんだろうね。
「死ぬつもりなのか」
「もうすぐそうなる、けどそれまで好きにやらせてもらうわ」
ベッドから出ようとすると、ベッドに押し倒される。
「ふざけるな、何が壊してだ。勝手に死ぬのか?」
「でも、私は。(長くは生きられない)」
「あの薬。複合反応起こして、お前を蝕んでる。解毒剤飲んで、二度とあの薬を飲まなければ生きられる」
顔を上げて、見つめる。まさか私が生きられるなんて。
「あと」
「まだ何かあるの」
「髪、前の色のほうがいい。」
「─っ!」
背を向けて、遠ざかっていく彼にぽつりと尋ねる。
「私の血、どんな味だったの」
「苦かった。毒の味がした。アサシンかと思うくらいに」
うつむく。ああ、私は。
「でも、生きていたよ」
その言葉に、一粒、涙が落ちた。
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