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【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目

[91:白猫の脱走劇(1/2)(2008/08/18(月) 00:19:41 ID:jyBSOj6s)]
いつも夢現なのだ、あの薬を使うと、最中のことをぼんやりとしか思い出せなくなる。
でもそれが嬉しかった。壊れかけの自分とまだ壊れていない自分との均衡が保てるから。
でも、どうしてこんなことになったのだろう。私はベッドの上から夕暮れを茫洋と見つめて…窓から外に飛び出した。

時は数時間前に遡る。
あのクリエイターにこっぴどく叱られて、解毒剤をいくつか放り投げられて、持っていた薬は全て取り上げられて、挙げ句の果てには安静を命じられて。
曰わく、「劇物には劇物で解毒するしかない。何が起こるか俺にも判らない。だから安静にしていろ」と。
理屈はわかるけど、何もしないというのは今まで突っ走ってきた私には辛い。常に走っていなければ駄目、そんな自戒を課していた時すらある。
だから久々に立ち止まって得た平穏に、慣れなかった。生き急ぐ必要は無いと言われても実感がなくて。
あのクリエイターは外出したのか不在らしい。それを見計らって、法衣に着替え窓から外に飛び出した。

露天街を歩く。噴水には近づきたくないけど、それ以外の場所は割と好き。喧騒が好き。
人混みの中にとある人影を見つける、あの人は…。
「やふ、リオ。今日は顔色いいね?」
「こんにちは、エヴァー」
挨拶してきた古い友人のLKに挨拶を返す。
「顔色がいい…ってどういうことなの?」
疑問を口に出すとエヴァーはいらえを返す。
「あのことが有ってからずっと病的に白かったのに今日はちょっとだけ以前みたいでさ。…それに、開口一番に薬のことを言わなくなったし、何かあったのかなーと」
ああ、と納得した。昔このLKも自棄になるほどのことがあって、その時に彼が手に入れた伝を使って、私にあの薬を渡してくれていた。いつもなら会うなりそれだから、不思議に思ったのかな。
「うるさい主治医が私からあの薬を全部取り上げて、絶対安静命じたの」
それを告げるとエヴァーは後ずさり驚愕を示す。
「…リオが、医者に行くようにっ…!治らない、って聞いたけど、っていうか絶対安静の人がなんでここに居るのさ…」
「どうやら治るらしいよ?ああ、窓から抜け出しましたが何か」
「リオもしたたかだなぁ…厄介な猫なのは相変わらずか。で、生きられるのか?」
「そう、みたいね…」
力無く見返す。正直命を捨てたに等しかった。エヴァーもそれを判っていた。私に薬を渡す度に辛そうな顔をして、私を心配していたのはエヴァー自身なのを知ってる。でもエヴァーは私を止められなかった。エヴァー自身も私と同じで、私より一足先に立ち上がっただけのだから。
質は違えど似た痛みを知る私とエヴァーは、慰め合うこともあった。でもその度に2人とも決まって後悔してた。言うなれば共犯者。壊れかけの自分と鏡像な存在。
「よかった、よかったよ…」
「そだね、ありがとう。そろそろ、行くね」
「ああ、またな」
別れの言葉を交わした瞬間足がうまく動かなくなって、バランスを崩して倒れた。何があるかわからないって、まさかこういうこと?
エヴァーが私の名前を呼ぶけど、ぼんやりとしか聞こえなくなってくる。頭痛が意識を暗闇に引きずり込む──。


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