【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
[96:栄光の歌は誰が為に(2008/08/22(金) 02:05:32 ID:FgMy9pv2)]
相変わらず怜には安静を命じられてる。でも、前みたいに命が削られていく感覚は無くなった気がする。腕は確かということかな。
怜は毎日のように外出しては帰ってきたあとにたまに私に新しい解毒剤を放る。…もしかして私の血の毒について調べているの?
どうして怜は私を助けようとするのかな。あのまま打ち捨てても、それはそれで受け入れたのに。
曖昧になった記憶の中に何かあるのかなぁ…と思案していると、呼び鈴が鳴る。誰か来たの?
「…れ…じゃなくて朱羽は不在ですけど…」
真っ青な顔をした茶髪のジプシー、確か、カリス──かつての相方──の友人。
「やっと見つけ出した…リオさん…カリスが…」
「カリスがどうかしたの?きれいな声が台無しだよ」
ジプシーは真っ青な顔で息を荒げて告げる。
「カリスが、死にました」
何かが割れた音がした。
「…そう、なの。でもどうして私に告げるの?とっくに私はカリスとは縁を切ったのに」
「…何も思わないんですか。」
「悲しいよ。でも何を思ったらいいかわからないの」
「カリスは最期までリオさんを愛していました。だから独りで騎士団に行って、それで…っ。どうして別れたんですか」
「私が悪いの。私が転生してから、ね。」
「カリスが死んで…埋葬されるとき…なんであなたは姿をくらましていたんですか」
ジプシーは泣いている、そして、きっと私に怒っている。
「なんであなたはカリスを切り捨てたんですか!」
ああ…彼女は私を責めているのね。
私は歩いて外に出る。振り返って笑いかける。彼女が絶句したのがわかった。
体がうまく動かない。それでも歩く。大聖堂の裏、きっとそこにカリスはいる。
墓の前──まだ新しい。
私は歌う、彼が好きだった歌を。今はもうスキルとしては使えないけど、旋律は覚えている。けして忘れはしない。
立っているだけで辛い。でも、せめてこれだけは最後まで歌わせて。
──主に栄光あれ。
そう結んだ。追悼として、歌い終わる。
「グロ…リア…今更…栄光なんて…あ、あぁ、カリスは…」
ジプシーがへたり込む。私は背を向けて、怜の家に戻る。
もう、カリスの死に区切りはつけたから。区切りをつけた、はずなのだから。
なら、この空虚は一体、何なの。くらい、とてもくらい。そして、じわじわと広がる…。
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