【18歳未満進入禁止】総合命令スレ19【inハァハァ鯖】
[91:おでこ姫騎士と女装従者(2011/10/01(土) 00:06:03 ID:Zy.kwZEs)]
>>75様。
キルハイル。
リヒタルゼンに拠点を置く機械製造会社の屋号にして、同時に稀代の篤志家として知られている同創業者の名でもある。
篤志家としての功績は『孤児に学習の機会を』という理念の下に開設されたキルハイル学院に代表される。
しかし、学院の実権をキエルという人物が握るようになって以来、もう一つの意味で名門校としての名を馳せるようになっていた。
ザァァァァ…
姫騎士は能面のような表情を浮かべ、豪雨のような勢いで降り注ぐシャワーに身をさらしていた。
九死に一生を得て生還した彼女を待っていたのは、キルハイルへの転入という片道切符。
王族の末席とはいえど、監獄から戻った女性に対する世間の目、そして体面を気にする親元の態度に例外は存在しなかったのだ。
「ひ、姫様…はやく身をお清めにならないと…」
そばに控えている侍従の少年が、ただ湯を浴びているだけの少女に恐る恐る進言する。
入浴中の女性の横に付き従うのが男性であるというのも奇な話だが、彼女はそれを許している。
「汚がされるために、わざわざ清めるのですか?」
「…申し訳ありません」
姫騎士の言葉に、恐縮する従者。
「いいのですよ。ここに送られた時点で、いいえ、監獄から生還した時点で、ある程度の覚悟はできてましたから」
姫騎士は自嘲気味につぶやきながらシャワーを止めると、手渡された石鹸を受け取り手の中で泡立て始める。
それからすぐに、泡の付いた掌がじんわりと熱を帯び始める。
レッドチリを配合し血行を良くする、という触れ込みの石鹸は以前に使用したことがあるが、効き目の早さを鑑みるとそれ以外の薬物と効果も隠されているのは明白だった。
「ですが、ここを卒業をすれば…」
「それまでの長い間、恥辱と苦痛に耐えろと言うの?」
自らの全身を泡で包み込みながら、姫騎士は言う。
「はい。今は…耐える時かと…自分も姫様と時を共にする覚悟はできております」
「貴方が覚悟を決めても、私が受ける仕打ちに変かはないでしょう。それに、今は永遠に今。解釈次第では停滞を、つまり死ぬまでこうかもしれないのよ?それでもいいのかしら?」
「…申し訳ありません。口が過ぎました」
「いえ…私も、覚悟はできているつもりですわ」
入学当日、彼女は最下層クラスの授業を見学させられた。
それは劣等生を教師『役』がマンツーマンで始動する形の『授業』だった。
丁度『最後の授業』だったのだろうそれは凄惨を極め、彼女がオークの食事の方が未だ品がいい、という感想を抱いたほどである。
幼さがぬけ切らぬ歳にしては、冷静につとめ最後まで見届けたのは武人としての意地と、生徒達への『弔い』の意味もあったのだろう。
「ですが、貴方にはもしもの時は、両親への伝令となっていただきますわ…」
「は?」
「私はどんな責めを受…けようと、最後まで決して屈さなかった。それを…伝えていただきます…わ」
皮膚の表面が炙られるような感触と、体の芯に芽吹いた痛痒冠感を堪えつつ姫騎士は言う。
「姫様…」
彼女も覚悟しているのだろう。
彼はあの授業をみた後、トイレで盛大に吐き出してしまっていた。
同時に思ったのだ。
彼女の盾となり、時に彼女が反抗的な態度をとれば、たとえ相手が誰であろうと、彼女を諫め従うよう促そうと。
彼だけは知っているのだ。
既に彼女の存在はあらゆる名簿から抹消されてしまっている事を。
風呂から上がった二人は、命じられた通り来客者の接待を行っていた。
目の前の、古書や古文書専門の商人だという>>75がその来客者だ。
「すまんな、新入生という事で手枷をさせてもらったよ」
豪華な食事の並んだテーブルに付いた男性が言う。
彼の側にはキルハイルの女子制服をまとった少女が二人。
姫騎士と、従者の少年だ。
「いえ…立場を考えれば当然の措置と存じ上げます」
姫騎士と従者は、両手を皮手錠で繋がれた状態で>>75の給仕を行っていた。
枷といっても完全に腕の動きを封じるものではなく、左右の手首に付けられた革のベルトを肩幅程度の細い鎖で繋いだものである。
強度は飾り程度の華奢なものだが、それを引きちぎることは極刑する行為。
常に彼女達は試されているのである。
「解っているじゃないか。飲み込みが早いな」
グラスにワインを付がせながら>>75が言う。
「光栄に…存じ…ます」
震える口調で礼を言う>>75と、それをはらはらした様子で見つめる従者。
いや、震えているのは声だけではなかった。
彼女の手にしたワインの瓶が震え、そして彼女の足どりもおぼつかないように見える。
怒りや屈辱に震えているのではない。
明確な怒りを抱く余裕すらないほど強い、別の方向の感情に彼女は耐えていた。
「ふふ。はしたないぞ?もう少し慎ましやかにしていなさい」
「も、申し訳ありません…」
指摘され、奥歯をかみしめながら頭を垂れる姫騎士。
ワインを注ぎ終えた彼女は、そのまま一歩下がり従者の隣に立ち次の命令を待つ。
彼も彼女同様女学生の装束をまとっている。
(姫様…)
従者はほっとしつつ姫騎士をを盗み見る。
彼女は一見冷静を装っていたが、時折吐き出す吐息はとても切なげだった。
夕食後、二人は>>75にあてがわれた客間に呼び出された。
「さて、ここまで来たのならば何をすべきかは理解しているはずだ。違うかね?」
「く…覚悟はできておりますわ。好きになさい」
歯を食いしばり、震える膝を叱咤しながら姿勢を保つ姫騎士。
「ふふ。姫と呼ばれる存在を一晩でどれだけ追いつめらるか、か」
>>75はほくそ笑んだ。
「………」
「どうした?」
全裸になり、ベッドに仰向けになっている自分を見下ろしたまま硬直する姫騎士に呼びかける>>75。
同じく全裸となった彼女の視線の先では、ギチギチに硬くそそり立つ>>75の剛直が鎌首をもたげ威嚇するアナコンダークのごとく彼女に向けられていた。
「そ…の」
彼の剛直に目を奪われ、声を失う姫騎士。
これまでにも従者のそれを弄んだ事はあった。
だが、彼のものとは大きさが格段に違う。
それまで少年のものしか見たことの無かった彼女にとって、それはまさに肉の凶器に見えた。
「覚悟を決めていると言うから自由にさせてみれば…とんだお笑い草だな。おい」
「はっ、はい!」
女学生姿のまま側に控えていた従者に>>75声を掛けると、ビクリと肩を震わせ震えた声で答えが返ってくる。
彼の手には、騎乗用の鞭が握られていた。
「やれ。自分の立場を解らせてやれ」
「ほっ、本当にやるのですか?」
「ひ、姫様…お願いします!>>75様我の仰るとおりに…」
「時間切れ、だ。俺の仰る通りにするのはその小娘ではなく…お前だ」
「………」
この場での絶対的な存在である冷徹な>>75の言葉と、姫騎士への忠誠の間で葛藤する従者。
だが、それを断ち切らんと彼女が振り向き言った。
「おやりなさい。自分の咎で貴方まで巻き込んだとあっては、主失格ですわ」
「ひ、姫様…」
「命令ですわ。今を耐えねばならぬと言ったのは、ほかでもない貴方です。それを実践なさい」
「はい…」
従者はうなだれ、手にした鞭の柄を握りしめた。
続きます
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