掲示板に戻る 最初- 前5 次5 前1 次1 最新5

【18歳未満進入禁止】総合命令スレ20【inハァハァ鯖】

[174:記憶喪失の駆魔剣士(2012/02/14(火) 23:02:32 ID:ySQ1VRS.)]
>>162

「まったく。貴方達も物好きなこと」
 肉体を縄で縛りあげられた駆魔剣士を見ながら>>162−イグドラシルの魔女は言う。
 目の前の床に転がされた華奢な肉体を這い回る黒い縄。
 それはいくつもの鮮やかな六角形を作り、絹のような肌に食い込んでいる。
 だが相当きつい締め付けを受けているにも関わらず、彼女の股を潜る縄は湿り、太ももには一筋の滴が伝っていた。
「手際の良さを察するに貴女も相当では?」
 魔女の隣に立つ主が問いかける。
 界隈では魔女などと呼ばれている彼女が、駆魔剣士の主に呼ばれたのは喪われた記憶を取り戻すためだ。
「本当に出来るのかね?」
「記憶っていうのはパズルみたいなもの。以前に行った事をピースとしてはめていってあげれば…無論特殊な封印がなければね」
 そう言って鞭の柄をしごきながら駆魔剣士に歩み寄る魔女。
「所で、彼女の記憶を取り戻してどうするつもり?今の方が都合がいいと思うんだけど?」
「確かに貴女の意図する意味では非常に都合がいい。だが、彼女がそうなるに至った経緯を是非知りたくてな」
「経緯?」
 主の言葉に不穏な気配を感じ取り眉をひそめる魔女。
「まあいいわ。扉が開けば、わかるんでしょうし、ね」
 そう言って彼女は鞭を振り上げた。


 ぴしぃっ!
 バラ鞭が甲高い澄んだ音を響かせながら駆魔剣士の肉体を打つ度に、彼女は苦悶の表情を浮かべ体をよじる。
 ぎちっ…
 そのたびに肉体に食い込んだ縄が軋み、彼女を苛んだ。
 十回ほど鞭を震った後、魔女は彼女の前に回り込んでかがみ込み顔を近づける。
「さあ、どう?昔もこうやって叩かれていたんでしょう?」
 うなだれていた頭を、髪の毛をつかみ上向かせる。
「は…はい…その…とおり…で…す」
 息も絶えだえなのは苦痛により消耗したのか、それとも快楽のためか。
「そう。その時のこと、少しずつ思い出してちょうだい?」
 鞭の柄頭で薄い胸元をぐりぐりと押しながら促す魔女。
「ゆっくり思い出しましょう?貴女はこうして鞭で叩かれていた。では誰に?あるいは、何処で?」
 彼女が頷くと、立ち上がり再び鞭を振り上げる魔女。
 さらに十回ほど鞭を打ち、再び彼女の顔をのぞき込む。
 主によってか、あるいはそれ以前にそうなっていたのか。
 彼女の瞳は恍惚としていた。
「どう?何か思い出した?」
「はい…石壁…壁に囲まれた部屋…う…っ」
「そう」
 再び立ち上がり、幾本もの赤い筋が浮かんだ背中を見下ろす魔女。
 これ以上打ち続ければ皮が裂けるかもしれない。
 一瞬主の方を見るが、彼は無言で頷いた。


「はぁ…はう…っ」
「どう?」
 何度そのプロセスを繰り返しただろうか。
 彼女の顔からは恍惚の表情は消え、苦悶のそれが取って変わっていた。
「石壁…の…へや」
 目を見開き、がくがくと全身を震えながら呟く駆魔剣士。
 石壁に囲まれた部屋、というキーワードが出た時はしめたと思ったが、そこから一向に前進する気配はない。
「そう…そのつぎ…?」
 再び鞭を振り上げるべく腰を上げようとした彼女の動きが止まる。
 駆魔剣士が痙攣をを始めていたのだ。
「私…は…縛られ…」
「そう。それで?」
 はやる気持ちを抑え、冷静に続きを促す魔女。
「目の前には…刃を持ったインジャスティスと…怒りに満ちた表情をジルだ…す」
 何度鞭を受けても従順だった彼女の瞳を涙が落ちる。
「大丈夫?ここにはいないわよ?」
「みんな…助けてくれるって言うから…私は…アイ…つらに…処刑さるの…うけいれ…」
「え?」
「だから、あた…し…解体…され…るの…うけいれ……に…どうじ!で…いいtぎてんdfkgなのにどうしててfw」
「く…っ」
 想定外の出来事だった。
 彼女は自分が殺されたと思っている。
 実際にそうなったのかは定かではないし、あるいはそれに等しい目に遭ったのかもしれない。
「中止するわよ!」
 魔女が痙攣する駆魔剣士の額に手を添えて活を入れると、次の瞬間彼女はガクリとその場に倒れ込んだ。
「自分が生きていることに疑問を持って錯乱するなんて…どう言うことか説明して下さるわよね?」
 にらむような目で主をにらむ魔女。
 彼は静かに頷いた。


「ヴァルキリーを介さない転生……?」
 主の言葉に、魔女は絶句した。
「噂は聞いたことはあるけど…」
「そのての概念が実在するのかをかめたかったのだ」
 彼が駆魔剣士の『過去』に気づいたのは、彼女を拾った直後のことだった。
 魔導師ギルド代表団の座長として王城に登城、その席で教会が杜撰な作戦立案により精鋭部隊が全滅させてしまったという情報を入手した。
 その過程で浮かび上がったのが、作戦行動中に行方不明となった部隊指揮官であり、そして彼女は駆魔剣士によく似たパラディンだった。
「最後の言葉を鑑みるに、肉体の若返りという線は無さそうだ。厳密には転生ではなく肉体の乗り換え」
 主は言う。
「彼女が何時、何処で、誰に、何されたのか。それを知る端緒としたかったのだ。それができれば…」
 そしてノウハウを知ることが叶わなくとも『前例』の存在が確認できれば大きな収穫となる。
「…不老不死への道が拓かれる」
 戦慄の表情を浮かべ魔女がつぶやき、主は静かに頷いた。
「これ以上の深入りは、彼女を壊してしまうわよ?」
「ならばそれすらも快楽に置き換えてしまえばいい。彼女には、少々無理をしてもらう事になるがな…」
 快楽はすべてを克服する。
 それは死を意識した自分自身に向けた物ではなく、一度死を経験したであろう彼女に向けた言葉であった。


掲示板に戻る 最初- 前5 次5 前1 次1 最新5
NAME:MAIL:

read.cgi ver4.20 by GlobalNoteScript (2006/03/17)