【18歳未満進入禁止】聖職者命令スレ Part12
[213:バルーン殴りプリ(2012/06/07(木) 15:20:55 ID:z1Op57tc)]
>>209
祝福のベルが鳴り響き、婚姻の儀により正式な夫婦と認められた花婿と花嫁――祝福の歓声が上がる。
真っ白なドレスを纏う花嫁が、タキシード姿の花婿に手を引かれて幸せそうに花道歩いていき。
「まさかお前にまで先を越されるとは思わなかったぞ、この野郎…まあ、祝福してやるよ。」
「そっちこそ、可愛い彼女を見せつけに来たのか、全く羨ましいぜ。」
「昨日の晩まで、彼女自慢で惚気続けた奴に言われたくねえや、さっさと行けよ。」
同期の知り合いなんだと先に説明を受けていたが、本当に仲の良さそうな口喧嘩をする二人を眺める。
ひと通りに悪態を付き終えた彼は、再び花嫁と一緒に花道の真ん中に戻っていき。
「もしかして、私を連れてきたのは――」
何処か寂しそうな背中を見せる彼の様子に、思わずそんな声が漏れてしまった。
そんなバルーン殴りプリの方を向いて「まあ見栄ぐらいは張らなきゃね」と苦笑を漏らすハイプリの彼。
「別にそのまま、彼女になってくれても構わないんだけどね?」
「お言葉は嬉しいのですが、そう言うのは――」
「分かってる。ついでの誘いを俺もする気はないから大丈夫だよ。」
彼の誘いに対して、困ったような寂しそうな、そんな表情を浮かべた彼女の姿に彼もそれ以上は誘わず。
全員に挨拶を終えた花婿と花嫁は、此処に集まった参列客の方を眺めては微笑み、
「そう言えば、折角のチャンスなのにあっちに行かないの?」
「いえ、ああ言うのに参加するつもりは――」
花嫁がその腕に抱えたブーケを仰ぐように、空に掲げていき。
次にブーケを使うであろう相手に届くようにと、力一杯に空に向けて放り投げていく。
視線がそれに一気に集まる中で、彼女は彼に向けて必要ないと、手を振ってみせて。
「わっ、ええと、その――」
舞い散る花びらが、バルーン殴りプリの頭の上に降り注ぐ。
咄嗟に出したその腕に収まるのは、先程の花婿と花嫁が使っていた、結婚式のブーケであった。
それを見た、彼は何とも言えない表情で笑い、そして頬を掻きながら思案顔になり。
「まあ、今更に忘れていた事なんだけど――あいつはロードナイト、なんだけどさ。」
「何となくこれは、どう見ても狙い撃ちされたようにしか。」
「ご名答の通り、あれでも名前の通ったスナイパーだったりするんだよな。」
見栄を張って彼女連れで参列した二人に対して、どう言う気持ちで送ったのかは分からない。
だが花嫁のブーケを受け取った二人は、参列客による盛大な拍手を向けられる結果になったのだった。
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