【18歳未満進入禁止】聖職者命令スレ Part12
[38:若葉アコライト。(2012/03/04(日) 18:55:17 ID:IUTkwZSs)]
「おはようございます、おねえちゃん」
「ええ、おはよう、ワカ。・・・いつも言っているでしょう。“お姉さま”って呼びなさいと」
起床のあいさつをすると、我が家の大黒柱である長女は不満そうに顔をしかめます。
朝からさわやかさがたりない・・・とは思いつつ、自分も眠気まなこのままだから人のことは言えないんですけど。
「だって、おねえちゃんはおねえちゃんだもん。顔、洗ってくるね」
「もう・・・あ、まって。例の“命令”。きているわよ」
「命令・・・うん、わかった。ありがとう、おねえちゃん」
洗面所に向かいながら、お姉ちゃんのいった言葉の意味を反芻します。
・・・そう、今日からわたしは例の場所で・・・
汲み置きの水の冷たさとともに、わたしは不安とほんの少しだけの期待を感じていました。
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[ >>36 さまからのご命令 ]
「え・・・、ダメ、です。答えられません・・・」
先日提出したプロフィール・・・というか、そんな感じのものに記入不備があったと言われ、呼びつけられてきてみれば。
そこに待っていたのは、わたしの初めての経験についてぜひとも聞き出そうと少しいやらしい表情をした錬金術師さん。つまりは、うん。“詮索屋さん”でした。
そういうの嫌われますよ、と直接言おうか迷ったものの。相手は男性で、しかも今はふたりきり。怒らせるかもしれないことをヘタに口にできず、なんとかこの場を逃げることを考えます。
「話せない、というのなら。話したくなるようにしてやるか」
わたしの返答は予想通り、と言わんばかりに。錬金術師さんは外套の中から、あらかじめ用意してあったのでしょう・・・何かの薬品が入ったフラスコを取り出します。
それを掲げたまま、彼はこのままだとわたしがどうなるか懇切丁寧に教えてくれます。
この中にはヒドラの胚が入っているとか、ケガをさせないよう品種改良したものだとか、触手が女の子の肌を這い回って絶頂寸前に追い込むだとか・・・
研究者肌の方は説明が大好きだって聞いたことあるけど、本当なんですね・・・
「むり、です・・・わたしは、答えられませんよ。だって、忘れちゃったんですから」
両手で胸の前を隠し、あとずさりながら・・・わたしもこっそり隠しておいたものに指を伸ばします。
指先の感じる硬く、確かな感触。ああ、忘れずにもってきていてよかった・・・
「そうか、ならば思い出すまでたっぷりと可愛がってもらうといい」
うわー、悪役ゼリフです。この人、状況にノリノリです。根は悪い人じゃないのかもなあ・・・
けれど、わたしにも言えない理由があるんです。ですから、ごめんなさい!
「さあ、ヒドラたち。あの娘のもだえ、涙にまみれる姿を俺に見せろ!」
「そんなのぜったいおことわりいたしますぅっ、の。わーぷぽーたるっ!」
呪文とともに青い宝石が強い光を放って、こっそり肌蹴ていた胸元を照らします。
うぅ、恥ずかしい・・・でもでも。これが若葉マークな聖職者であるわたしの、唯一といってもいい得意技!
「しつれいします、さようならっ」
錬金術師さんの驚く顔もまともに見ないで、わたしは光の門に飛び込んだのでした。
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「それで、初めての命令は見事に失敗。というか、何もせずに大逃亡?」
「むぅー・・・、だってぇ〜・・・」
命令の一次報告先であるお姉ちゃんの元に飛び込んで、テーブルに突っ伏しながらむくれるわたし。
かちゃり、と。陶器が触れ合う音と、鼻先をくすぐる紅茶の芳しい香り。顔をあげれば、どんなときでも安心してしまうようなお姉ちゃんの微笑み。
こんなダメダメなわたしに、いつだって優しくしてくれるお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんを、わたしも大好きだから。わたしの“初めてのこと”は誰にも教えちゃいけないんです。
「ね、おねえちゃん・・・わたし、がんばるからね」
「ふふ・・・ええ」
初めての命令はうまくできなかったけれど。
お姉ちゃんの淹れてくれた紅茶は、とても温かかったのでした。
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