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【18歳未満進入禁止】聖職者命令スレ Part12

[98:バルーン殴りプリ(2012/03/22(木) 18:03:55 ID:4vvHrpfE)]
>>82

神の御名の前では、富めるものも貧しきものも、救済されなければならない。
そんな言葉さえ、光と影を併せ持つ街、このリヒタルゼンでは通用しないのかもしれない。

「それでは、これで本日のお勉強は終了とさせていただきます。」
今日は大聖堂の施しの精神をもって、貧民街に住む子供達に読み書きを教える日だった。
その日の授業は終わり、授業を受けた子供達に配給のパンを配る。
美味しそうにそれを食べる子供達を眺めながら、バルーン殴りプリもひと息ついた。

「また、次のお勉強の日には出席してくださいね。」
彼等に満足な教育を与えられる事は出来ないが生きていく糧にはなるだろう。
彼女も、聖職者として、聖職者らしい仕事をする、この仕事を嫌いになる筈もなかった。
 
 
 
「君が貧民街の方で何らかの活動をしている、そう聞き及んでいるが本当なのかね?」
「はい、大聖堂の指示で、貧民街の子供達に施しをさせて頂いてます。」

彼女がレッケンベル社の役員に呼び出されたのは何度目かの施しの仕事が終わった頃。
異世界が発見され、その世界の調査に三つの国家は協力態勢を取っている、と言うのは建前の話で。
何らかの手段を用意しては、互いに相手国家の動向を探るのは、日常的はものだった。

「それ以外の指示は、大聖堂の方からも頂いてはおりません。」
冒険者の活動をしているものなら、時折これと同じような問答が繰り返される事がある。
質疑応答を繰り返して解放される。何時もの事、彼女もその時は思っていた。

「申し訳ないが詳しく聞かせて貰うよ。当社の方で幾つかの資料が盗み出されていてね。」
「王国でも同様の事を聞きます。 それに、冒険者が関わっていると?」
「確かな証拠は何もない。 だが原因を究明しろとの我が社からの指示を受けている。」

目の前に居る彼が、机から取りだしたのは香水の瓶のようなものだった。
彼から感じる微かな薬品の臭い、彼はクリエイターの職業に就いているのだろうかと。
そんな事を考えていれば、突然、彼女の方に向けてその香水を噴きつけた。

「何を…突然そんなものを、私に、何をするつもりだったんですか…」
「なに、別に危険あるものではないさ、担当として、私は、聞きたい事があるだけだよ。」

咄嗟にその薬液を避けたものの、彼女の綺麗な紅髪に僅かながら薬液は浸透してしまった。
思わず距離を取りながら、その顔を睨み付けて警戒を解かぬバルーン殴りプリ。
彼の手元にある香水瓶が、彼女に効果を示すのは、それから僅かな時間を経過した頃であった。


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