【18歳未満進入禁止】総合命令スレ24【inハァハァ鯖】
[215:首輪剣士(2014/05/11(日) 17:30:12 ID:hn0sOt1s)]
>>213様
ミドガッツ王国の主要都市に設置されたPvP空間。
その一つであるアルベルタの港を模した空間。
だがっ、空は、不自然に赤い。
鮮やかな夕焼けとは異なる、まがまがしい、血のように赤い空。
ここは地下闘技場運営組織『ナイトメアテラー』が擁する専用空間だ。
そんな空とは対照的に、鮮やかな赤い髪を三つ編みにした少女が一人。
剣士の装束をまとい、両手剣を手にした少女剣士。
一見、どこにでも居るような剣士の白い首には、漆黒の首輪が巻かれている。
彼女は組織に所属する剣士、言うならば剣闘奴隷のようなものだ。
元々はキューペット候補だったらしいが、反抗的な態度が問題視されて処分がてらこちらに払い下げられたと聞いている。
「あのファームからも切られるとは…」
港と市街地の間に作られた階段状の防波堤に腰掛け、対戦相手である首輪剣士の身の上が掛かれた羊皮紙を仕舞い顔を上げる。
視界に広がる赤い空と青い海と、そして白い石畳の港。
そして、港に立ち、睨んでいる少女。
術士か弓手系ならばすでに交戦圏内だ。
「それなりに安くマッチメイクできたのはそういうことか。さあセラ、いくよ」
立ち上がりながら、>>213は従者然と背後に立っていたホムンクルスに指示を出す。
蜂の胴体に、人間の四肢と頭を付けたような外見のセラと呼ばれるタイプだ。
セラは羽音を響かせ地面すれすれの位置を飛びながら、彼に従い港へと向かっていった。
「初めまして。私は…」
「あなたが対戦相手?」
>>213の言葉を遮るように誰何する首輪剣士。
「ははは。そうかりかりしなさんな。まあ、空間の中にいるのだからしょうがないいあ」
PvPのルールを知る>>213は苦笑した。
もっとも、これは試合に名を借りた実験なのだが、彼女も易々と実験台になるつもりはないようだ。
「紹介しよう。ボクの最高傑作にして、今日の君の対戦相手だ」
そう言って>>213が一歩横に動くと、セラが彼に代わり彼女と対峙する。
「ホムンクルスSですって?」
両手剣を構えながら首輪剣士がいう。
「ご明察。最近色々と技術が解禁されてね。さあ、存分に暴れなさい」
>>213は彼女を指さしながら、セラにそう命令した。
最初に動いたのはセラだった。
ヴォォォォォォォォン!
獣の咆哮のような羽音を響かせながら、セラが首輪剣士に肉薄する。
単色の無機質な相貌で剣士を見据えながら、一直線に。
「く…っ!」
蜂蜜のような液体が滴る右手を振り上げ、彼女に殴りかかろうとするセラ。
だが、いかに第二世代ホムンクルスの一撃とは言えそこまで単調な攻撃が当たるはずもない…はずだった。
「ひっ!?」
セラが右手を振り下ろした瞬間、その動きをトレースするかのように何かが彼女に降り注ぐ。
彼女はとっさに剣を手放し、両手で顔を覆いかばった。
次の瞬間、がん、がん、と時折胸当てや手甲に何か堅い物が衝突する音が響く。
同時に、体の彼方此方に鋭い痛みが走る。
「こっ…これ…は…」
文字通りのオールレンジ攻撃に翻弄される中、自らが纏う手甲にめり込んだ驚愕する首輪剣士。
それらは針のような何かだった。
「まだ剣士のあなたはなじみがないでしょうが、それはルシオラヴェスパの針ですよ」
>>213が説明を始めると、ぴたりと虫達の攻撃が停止する。
「それはサモンレギオン…ルシオラヴェスパの群を召還して目標を襲わせるスキルです」
一歩引いた場所で、クリップボードを手にした>>213が言う。
「く…っ」
奥歯を食いしばり、セラに視線を戻す首輪剣士。
虫の群を従えた眼前の蜂人間は、棒立ちの姿勢で無機質な目をこちらに向けていた。
まるで、相手に戦う力がないことを確信しているかのようだった。
「バカにして…っ!」
剣を拾い上げようとする首輪剣士の全身に激痛が走る。
「一人前の戦士なら、自分の状態にも気を配るべきかと」
>>213は言う。
先ほどの攻撃で彼女の服には幾筋もの切れ込みが刻まれ、所々から露出する肌からは血が滲んでいた。
金属部分はとうに砕け散り、スキルの威力のすさまじさを物語っている。
「うる…さい!この程度の痛みで…」
「ほう、さすがは剣士。苦痛には強いですね。セラ、楽にして上げなさい」
>>213が命じると、セラは首輪剣士との距離を更に詰めた。
「ぐあ…」
先ほどの攻撃とは違うタイプの痛み。
下腹部に灼熱感が広がり、膝の力が抜けてゆく。
「ギィ…」
彼女と距離を詰めたセラは、ヒップアタックの要領で尻から生える親指ほどの長さの針を彼女の下腹に突き立てたのだ。
「この…程度」
せめて一矢報いるべく、零距離まで近づいた相手の目に指を突き立ててやろうと腕を振り上げようとする首輪剣士。
しかし、なぜか肩に力が入らない。
「毒っ…?」
彼女が顔色を変えると、セラは言葉がわかるか口元をつり上げた。
「ギギッ」
耳元でセラの鳴き声が聞こえる。
勝利を確信したかのような、愉悦や余裕を感じさせる声。
「く…これまで…か」
首輪剣士は悔しそうにつぶやき、その直後石畳の上に崩れ落ちた。
続きます
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