【18歳未満進入禁止】総合命令スレ27【inハァハァ鯖】
[170:長耳アリス一家(2017/08/05(土) 21:50:24 ID:pI3GmMi.)]
どこまでも続く緑色の世界。
アルベルタに隣接する森林地帯、かって『迷いの森』と呼ばれた地。
昼なお暗く、天蓋の様に空を遮っていた樹木は適度に剪定され、地面まで日の光が届くまでになった。
少なくともアルベルタが自らの経済圏として開拓した部分に限れば、だが。
「……随分と変わったものだ」
「これも、お二人の奮闘の賜物かと」
整備された石畳を行く、エプロンドレスに身を包んだ3人のアリス達。
「其れは買いかぶりすぎだ、リンナ」
先頭を歩いていたミシェラが言う。
日頃の『奮闘』振りを評価され休暇が与えられた、同時にアルベルタに新設された避暑地への招待状を渡された。
「…お嬢様?」
リンナは自身の隣を歩き、賞賛に複雑な表情を浮かべる『伴侶』に声をかける。
「今回の集まりって…その」
「…まあ、そういうことなのだろうな」
ミシェラが言う。
休暇の件を伝えに来た使者曰く、今回のプレオープンは招待客限定。
しかも集められているのは『そういう界隈』の者ばかり。
事実、敷地の方々で寛ぐ者達にそれらの片鱗が見え隠れする。
一次職、二次職を連れた上位職の者達。
それらの大半は前者が女性であり、後者は明らかに権力者かそれに類する階級の者達だ。
夜になれば文字通り『本性』をむき出しにするのだろう。
「周囲がどうあれ、特に何をしろという訳でもない。休めるときに休むのも戦士の勤めだ」
「はい…」
ミシェラの言葉に、ミカエラはやはり複雑な表情を浮かべながら応えた。
自分はまだ戦士なのだろうか。
彼女の中でそんな疑問が浮かんでいた。
「い、いきなり何を言い出すのよリンナ…休むんじゃなかったの?」
「しかし、四六時中寝ているわけではありません」
ロッジ到着後の、やや遅い昼食の席。
リンナのある提案に、ミカエラは驚き、ミシェラは頷く。
提案とは2人でミカエラを調教することだった。
「心がけは立派だがいささか唐突にも思える。理由を聞かせてくれないか?」
「はい。お嬢様は、奥様に少なからぬ反感を抱いていらっしゃるように見えるので…」
リンナは言う。
「その原因をなんと見る?」
「辱められることを、壊れないためとはいえ『享楽』と捉える事に抵抗を抱いているものかと」
彼女には普段の『熱』を冷ますための行為すら抵抗を感じている節が見受けられる、とリンナは言う。
「気に病むな。そうすぐに変わるとは思っていない」
「………」
二人から指摘され、気まずそうにサンドイッチを口に運ぶミカエラ。
「ですので、この休暇を機会に少しでも変わっていただこうかと思いまして」
リンナは言う。
彼女の提案とは、休暇の期間に自身とミシェラの手によりミカエラを調教すること。
ミシェラのように、辱めを辱めと思わぬ強靱な精神を身につけるためだ。
「お嬢様の憤慨なさるお気持ちは分かります」
「あなたの言いたいことは分かるけど、だからって、二人に責められるなんて…」
「同意まではいかなくとも、理解は出来るようになったのだな」
うれしそうな、しかし複雑そうな表情を浮かべながらミシェラは言った。
深夜。
本来なら夜警の者以外は眠りに就くだろう時間帯。
しかし方々のロッジから明かりが漏れる中、三人は避暑地の石畳を歩いていた。
ミシェラとリンナはいつものエプロンドレス。
ミカエラだけは膝丈で白い薄手の、ホルターネックのワンピースを纏ってる。
その薄さたるや、彼女を先導するリンナが灯すルアフに照らされ、布地の中に身体の線がくっきりと浮かぶ程だ。
「ご心配なく。ここにおられる方々は野暮なことをいたしません」
「分かってる…分かってるけど…ん…っ!」
励ますリンナに、切なげな吐息混じりに答えるミカエラ。
辱めを受ける際、リンナがその辺に気を遣ってくれているのは彼女も分かっている。
「お嬢様。今日は声を我慢なさる必要はございません…」
「だ、だけど…っ」
そう言って、歩みを止めるミカエラ。
脚はブルブルと震えている。
「この程度なら、もう慣れっこと思ってたが…」
そう言って、失望したぞ、という仕草をしてみせるミカエラ。
「近親者同士だからこそ、興奮なされている可能性も…」
「り、リン…ナ…っ」
抗議の声を上げ、彼女を睨もうとするミカエラ。
「申し訳ございません。お嬢様を辱める事に興奮してしまい…」
頬を赤らめながらリンナは言う。
「ですが、お嬢様と奥様に対する気持ちに揺らぎはありません…」
そう言って切なげなため息をはくリンナ。
「お前もなんだかんだで楽しめるようになったのだな」
そう言って、リンナの頭を撫でるミシェラ。
「とはいえ、そろそろ限界だろう。どこかで発散させてやらなければ」
「はい。この先の散策路の脇でよろしいでしょうか?」
「そうだな。さ、ミカエラ、頑張るんだ」
ミカエラが同意する前に、ミシェラが行き先を決定する。
今の彼女に決定権はない。
躾が必要な出来損ないの肉人形だからだ。
フラつく足取りでしばらく歩くと、複数の足音が響いてくる。
闇の中から浮かび上がったのは、サイトの明かりに照らし出された少年と初老の2人の魔道士だ。
少年はマントを抱きしめるように羽織、初老魔道士に遅れまいと必死について行っている。
首元にはうっすらと何か筋のようなものが見えた。
マントの中、少年の首元から伸びる其れは先導する彼のもとにつながっている。
おそらくはリードだろう。
2人とも職業服を纏っていないので位階は断言できないが、少なくとも後者の位は相当なものだろう事がうかがえる。
周回するルアフとサイトが徐々に近寄り、空気が張り詰める。
「……」
「……」
そして、互いに一足一刀の間合いへと入り、ミカエラが顔を強ばらせる。
だが、リンナとミシェラ、そして初老魔道士は同時に黙礼し、その場をすれ違った。。
先ほどの二人とすれ違った場所から、彼等の足跡を遡る様うに森の中に入ってゆく三人。
夏だというのに、虫の一つも集ってこないのは先客が何らかの魔術的措置を取ったからだろうか。
「ちょっとしたアクシデントだったな」
苦笑するミシェラ。
「彼を…助けなくてもよかったのですか?」
「我々の使命じゃない。我々の使命は魔族に『抗う』こと…だ」
そう言って足を止める。
「さあ。どうなっているのか見せてみろ。見ているのは我々と木々だけだ」
樹齢3桁の木々に囲まれる中、ミシェラは実の娘に語りかける。
「……」
母の言葉に、リンナは震える指でワンピースの裾をつまみ、ゆっくりと引き上げた。
続きます
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