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【18歳未満進入禁止】聖職者命令スレ Part18

[7:訳あって戦乙女な少年司祭レイリとヴァレー(2021/05/13(木) 00:08:32 ID:gFQVNwRE)]
>>6
素晴らしい写真をありがとうございます!
これには旦那様もにっこりです。

>>5
大変お待たせしました。
茶番多めというかほぼ茶番で無駄に長くなってしまいましたが…


「レイ…レイアです。ようこそ、リリィナさん」
「ヴァ…ヴァレリアだ。よろしく…たのむ」
 リリィ名ジェダ邸の書庫を訪れると、カプラ装束に身を包んだ2人の少年に出迎えられた。
「初めまして。リリィナです。本日はよろしくお願いします」
 少女としての名を名乗っていると言う事は、そう言うことなのだろう。
 戸惑いつつ、武人としての本能的な部分が冷静に状況を分析する。
 あの日以降もジェダとは何度か公私双方で顔を合わせており、その過程で2人のことや『ルール』は聞いてはいる。
 それでも、いざ本人達を見るとやはり戸惑いを禁じ得ない。
「リリィナ様?」
「え?あ、ああ。ごめんなさいね。聞いていた以上に『女の子』だったから」
「は、はい…え、ええと…ありがとうございます」
「そりゃどうも…」
「あ…い、いろいろご、ごめんね」
 ジェダの直球スピアスタブじみた身も蓋もない勧誘に戸惑っていたのを思い出し、素直に謝罪するリリィナ。
「レイ…ア。立ち話もなんだ」
「そうだね」
 少年二人は頷き合い、彼女を中へと招き入れた。


 その書庫は、彼の本宅以上に頑丈な作りであった。
 壁は厚く、そして窓の小ささは監獄を思わせる。
 いずれも書物を守り、そして書庫内の環境を一定に保つための設計だ。
「話には聞いてましたが、まるで城砦みたいな作りですね」
 規模は小さいが、ヴァルキリーレルム城塞群に勝ると主劣らぬ頑強さに目を見張るリリィナ。
「普通だったら反乱を疑われるレベルの造りだって話だな」
 ヴァレリアは言う。
 それでも建築許可が下りたのは、王立やそれに近い学問組織が保有する資料の保管を肩代わりしているからだそうだ。
「騎士らしからぬ書物に対する厚遇ぶりは、騎士団じゃ割と有名だそうだ」
 ヴァレーは言う。
「ジェダ様は国内外で活動する学術調査団の護衛隊編制に関わられているんですよ」
 リリィナは言う。
「らしいな。昔は現地で護衛隊の指揮を執ってたそうだ。それもあってゲフェン方面に大きな貸しやコネがあるんだとさ」
「さすが、侍従ともなると詳しいのですね」
「…色々聞かされるんだよ。察してくれ」
「え…あ―」
 少年二人がジェダとまぐわる姿を想像し、顔を赤らめるリリィナ。
 そしてしばらく逡巡し…
「アリですね…」
 ぽつり、とそう呟いた。


 亡者を打ち払う太陽の光、魔を押し流す水。
 しかし人々に多くの恵みをもたらすはずのそれらは、文書にとっては恐るべき脅威なのだ。
 地下に足を踏み入れたリリィナは、過去に騎士団の文書管理担当者から聞いたそんな言葉を思い出した。
 漆黒の地下空間を、少年二人のルアフだけを頼りに進んで行く。
 敷地の面積一杯に作られた書庫は地下深くまで階層が続いている。
「相変わらず何度来ても辛気くさい」
 溜息をつくヴァレー
「でも、ここならライドワードが襲ってきてもテレポで逃げられるし、そもそも居ないよ」
 レイリは言う。
「はっ、そんなこと言ってて、爺さんに襲われたのはどこのどいつだよ」
「そ、それはヴァレ…ヴァレリアだって」
「…う、うっさい」
 ばつ悪そうに答えるヴァレー。
「お、お盛んなのですね…」
「まぁね…レイリなら顔立ちも良いし、しょうがねぇって気もするけどな」
「あらあら。嫉妬ですか?」
「いやそんなもんじゃ…」
 取り乱すヴァレー。
「クスクスクス…それで、ジェダ様とはどんな風に?」
「えと…この姿の時は口で、ですね」
 顔を赤らめつつ答えるレイリ。

「…正直に答えてるんじゃねぇよ、たく」
 毒づくヴァレー。
「そもそもあの爺さんのなんて入らねぇだろ」
「え?」
「いやそこで『なんで?』って顔で見ないでくれよ…」
 あきれるヴァレー。
「慣らせばいけるかもしれませんよ?」
 そう言ってふふ、と笑うリリィナ。
「いや確かに指で弄られるけどって…リリィナさんだっけ?爺さんのあれの1人かい?」
「いえ。時折お誘いいただくことはありますが」
「あ、さいですか…」
 げんなりするヴァレー。
「事情は知ってると聞いてたけどよ…」
 清楚そうな騎士が、爛れた夜を過ごしているのだ。
 動揺するなと言う方が無理な話である。
 そんなやりとりを続けながら地下深く下ると、やがて書架の列が途切れ開いた空間に閲覧用の空間が姿を。
「明かり?」
 閲覧台では、一人の人物がクレヤボンドクリップの赤い光に照らされながら書物に目を通していた。
「ようこそ」
「じぇ、ジェダ様!」
 慌てて敬礼するリリィナ。
「先日はどうも。しっかりと学んでいくと良い」
「は、はい!お借りします」
 リリィナはそう言って紙袋を差し出した。
「こ、これ差し入れです。調べ物が一段落したら皆さんで…」
「その紙袋って高級フルーツ店の…」
 リリィナが手提げから取り出した紙袋物を見て驚愕するヴァレー。
「屋台のジュースが10杯以上飲める奴だぞ…」
「こらこら、あまり価格のことを口にするもんじゃないぞヴァレレリア。」
 苦笑するジェダ。
「主の面子を潰すようでは、これは仕置きが必要かもしれんな」
「ぐ、し、シツレイシマシタ」
 慌ててリリィナの方を向き直り抑揚の無い声で謝罪するヴァレー。
「ははは」
 それを見て屈託のない笑みを浮かべるレイリ。
「では冷やしておくとしよう。そういえば、ミラリーゼ殿は一緒では無いのか?」
「姉はゲフェンで会合がありまして。終わったら来ると言ってました」
 魔導師ギルド保管の重要資料を閲覧できると聞いて張り切っていたのですが…
 リリィナはそう言って溜息を吐いた。


「うーん…」
 青白い光が照らす中、リリィナは椅子に腰掛け背を伸ばす。
「どうかね?食い入るように読んでいるが」
「はい。自分もそして臨時で組んできた人たちも、結構経験と感覚だけで動いてのだたと思い知らされます。座学を軽視していたわけではないのですが…皆よく生きてこれたなーと…」
「耳が痛いな。しかし、これら書物は間違いなく先人の血、すなわち経験と犠牲により紡がれたものだ」
 だから、おぬしの経験に基づく行動も間違いではないし、もいずれ書物に記される事になる。
 ジェダは言う。
「そうなるに値する経験を積めるでしょうか…」
「なに。その若さでロードナイトになれたのだ。先は長いぞ」
 ジェダが言ったその時、レイリとヴァレーがやってくる。
「旦那様、新規資料の収蔵終わりました」
「ご苦労。ふむ、そろそろ一息入れるとしよう。準備してくれ」
 ジェダは言った。
「はい」
「いよっしゃ」
 2人の声は心なしか弾んでいた。


 リリィナとジェダがが地上に戻ると、一足先に戻った少年達が喫茶室の準備を整えていた。
 日当たりの良い場所に設えられた円形のテーブルには、彼女が差し入れたバナナジュースと、そしてジェダが用意させたルティエのクッキーが並んでいた。
「では、いただくとしよう」
 席に着き、牛乳瓶型の瓶を手に取り風を開けるジェダ。
「はい」
「いただきまーす!」
 主に続き、ジュースを手に取る少年達。
 特にヴァレーは相当待ち遠しかったのだろうか、誰よりも早くそれを飲み干し、レイリが続いて一口だけ口に含み飲み込んだ。
 だが次の瞬間だった。
 部屋の空気が張り詰め詰めさながら戦場のそれになる。


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