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【アブラ】セージ萌えスレ【カタブラ】

[167:136 セージ子さん、商人に食われる。3(2006/01/21(土) 23:27:38 ID:fRyDvkvA)]
それからどれくらいの時間が経ったのか。
何度かの眠りにつき、ふと目を開けるとそこは宵闇。
空気は冷却され、俺はそれで起こされたことに気付いた。
「…ハラ減った」
放置されていた。
寝てる間に彼女が来た形跡も無く、俺はどうやら怪我をした動物と同系統らしい。
「セージさん?」
ベッドの横にあったランプを手に、扉を開ける。
熱気が俺の頬を舐めた。
決して広いとはいえない居間。そこに積み重なった本、書物。
もちろん俺にとって、産まれて初めて見た本ばかりだった。
その中に彼女はいた。暖炉の炎を明かりに、小さな文字を目で追っている。
俺の言葉にページを繰る手をやっと止めた。
「…ん、誰だ?」
「あの、俺っす、昼間の」
なんと情けないやりとりか。彼女にとっての俺はいったい。
「ん、ああ…、!!!」
…忘れられていたらしい。
「動物か俺は…、いや、それ以下か」
「すまない!素で忘れていた。食事を用意するからそこに座っていてくれ」
華奢な腕は本を派手に閉じ、彼女は辺りの整理もあとに立ち上がり扉を出て行った。
「…素で、ね。はは…」
大粒汗。しかも座っていろと 言われても。
「どこに」
本だらけ。とりあえず傍らにある本のタイトルは。
「『プロンテラの歴史』、『簡易モンスター図鑑』、『悪魔は裁く』、『お肌の手入れ法』…」
賢者ってこんなに本を読むんだなぁ、と俺は素直に思った。
だが立っているのも嫌なので適当に本を積み重ね、空いたソファに座り込む。
暖炉に手をかざし、暖を取るところで
「本当に悪かった…!」
トレイを持った少女が戻ってきた。

「私の悪い癖で、な。新しい本が来ると時間が経つこともだが、何よりそれ以外の興味をなくしてしまう」
スープとパン、それに少しの肉。
簡単な食事だが俺には涙が出そうなくらい美味しいものだった。
「いやしょうがないですよ…ははは」
命の恩人を責めてもしょーがないし、俺は諦めの口調を隠しきれていない。
「本を片付ける、今夜はこのままここで寝ると良い」
気付いたのか、それともそういうつもりだったのか、彼女はテーブルの脇に積んであった本を避け始めた。
「いや、俺は向こうでも…セージさんは?」
ベッドは向こうに一つだけ。しかし暖のないあの部屋はこれから眠るにはかなり寒い。
俺もよく寝てられたものだと思う。
「…私もここで眠る。ソファを使って寝ると良い。私は床で構わん」
彼女はいつもはどこで寝てるんだ、と思ったが毛布があるところを見るといつもここで寝ているのか。
「いや、俺は大丈夫ですから。」
「何を間の抜けたことを。病人を放置していたのは私だ。これくらいは好きにさせてもらう」
え?なんか俺のほうが責められてないか?


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