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アコたんvsメカアコたん Part6

[73:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2004/09/09(木) 23:59 ID:HXEbzvuk)]
男がモロクの街の市場で夕飯の食材を求めている時、その気配に感づいた。
先程からチラチラと視線を感じる。尾行していることが筒抜けである。
男は誰に対してと言うわけでもなく仕方なさそうな顔をすると買い物を止め人気のない場所を探す。
ここは裏路地に入っただけで何が起きてもおかしくない。砂漠の黄砂が何もかも全てをすぐに隠してくれる。
証拠以前に事件すら気付かない、モロクとはそんな街であった。

男が裏路地に入ると尾行者もついて来るのがわかる。
「さて、この辺でいいだろう?さっさと仕事を済ませたらどうだ?」
男が背を向けたまま尾行者に話しかける。尾行者の気配は二人。
振り向いてみれば、身なりはこの街では至って普通の冒険者風といったところ。
だが、その眼は非常に冷たい。先程まで殺していたであろう殺気が今では肌で感じられる程だ。
「自分の殺気を隠せるということは係長クラスといったところか・・・だが尾行はヒラ社員並みだな」
男が冷たく言い放ち終える前に一人の暗殺者が男に踊りかかる。

暗殺者のカタールが男に届くより速く男の斬撃が暗殺者の胴を凪ぐ。だが傷は浅い。暗殺者たちにとってはかすり傷と言ってもいいくらいだ。
「お前の命はあと10秒だ・・・」
見れば男の腕に毒でぬらぬらと濡れ、怪しい光を放つジュルが装着されている。一瞬の攻防で相手を毒に侵しベノムスプラッシャーを叩き込んだのだ。
死の宣告がなされた仲間の暗殺者のことを気にも掛けずもう一人の暗殺者が男に飛び掛る。
「ソニック・・・・・・ブロォォォオオオオオオ!!」
男のジュルが繰り出す連撃がもう一人の暗殺者を迎撃する。
「トリプルカオスジュルで混乱の秘孔を突いた・・・お前の腕はお前の意思に関係なく動き出す」
混乱の秘孔を突かれた暗殺者の腕が小刻みに震えだす。腕のカタールをカタカタ鳴らしながらゆっくりと自分の首へと宛がう。
おそらく必死で抵抗しているのだろうが腕は全く言う事を聞かない。
「あぁっべぇぇっしぃぃぃぃっ!!」
意味不明な絶叫を上げ毒に侵された暗殺者の一人が毒を撒き散らし爆ぜる。
「ひぃでぇぶぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
続いてこちらもまた意味不明な絶叫を上げながらもう一人の暗殺者の首が地に落ちた。

パン、パン、パン・・・
手を叩きながら初老の男・・・アサシンギルドの社長が男へと近づく。
「うちの課長クラス二人相手にこれ程とは・・・腕は退社した時と遜色ないようで安心しましたよ」
「こいつらが課長クラスだと?俺が居ない間にアサシンギルドも随分と質が落ちたものだな」
男の皮肉にも社長は笑顔のまま答える。
「確かに事実ですからそう言われても仕方ありませんね・・・そこで貴方にはこの男の始末をお願いしたいのですよ」
社長が男に一枚の人相書きを見せる。
「確かにこの男が標的ならばお前の部下では心許ないな・・・ならばお前自身が出向けばいいのではないか?」
「いえいえ、私の方は現役を引退している身ですし、デスクワークが長い分ブランクもありますしね」
今まで気配すらせずにこちらの動きを見ていた者が抜け抜けとよく言う。男が心の中で毒づく。
「無論、こちらの下請けというわけですから依頼主は言えませんがその分報酬は弾むつもりですよ」
社長が愛想良く笑って見せた。


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