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アコたんvsメカアコたん Part6

[83:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2004/09/29(水) 23:01 ID:gVNfdAtA)]
『十五夜』
リーン…、リーン… 虫の音が夜の空気を震わせる。見事な満月が雲一つ無い夜空にぽっかりと浮かび、皓々と辺りを照らしている
その夜に落ち着いた、されど透き通るような声音が響いた

「うーん、やっぱり大陸を離れると空も綺麗ねー。今日は中秋の名月、一年でお月様が一番大きく見えるのよ
 ほら、御覧なさい白薔薇。月にいるうさぎさんもあんなに大きくてよ」
夜闇に溶けることなく華麗な容姿を浮かび上がらせたそのプリーストは、そのすらりと伸びた指で月を指した
「ふふ、うさぎさんだなんて。紅薔薇、貴方はもっと現実主義者かと思ってましたよ」
それに応えたのは、まるで月の精かと見まがうほどの幻想的な雰囲気を持った白髪の幼げなプリースト
夜は自分の領分と言わんばかりに、月明かりに照らされたまま静かに佇んでいる

プリたんはその発言に抗議するように、腕を組んだ
「そんな事ないわよ。現実ばっかりだとつまらないでしょ?アコたんにもよく歌ってあげたものだわ」
「あれですか、うさぎの歌」
「そそ、それ」
適当に意志を疎通させ、そして二人はその優美な声を合わせて歌いだした
『うーさぎ、うーさぎ、なにみてはーねるー♪』

そしてその二人が同時に視線を鋭くする。そして動いたのも同時
「ホーリーライト!!」
白薔薇が印を切り、力を持った光で巨大なトンボ、ドラゴンフライを打ち落とす
「ハッ!!」
プリたんが気を吐き、よってきた巨大なウサギ、スプリングラビットの顎に拳を打ち込み地面に沈める

「なんで私達、亀島にいるのかしらね…」
「それは紅薔薇が本格的にお月見したいって言ったからですよ。アマツくんだりまで船で行くなんて言い出すから…」
「あら、私のせい?アルベルタで船着場間違えたの誰だったかしらねー」
「貴方だって気がついてませんでしたよね?」

ともあれこんなところでいがみ合っていても仕方がないので、二人はまた歌いだした
『うーさぎ、うーさぎ、なにみてはーねるー♪』

虫の音は既に止み、足元に大きなうさぎが血を流して転がっているが、全てを無視して二人は唄い続けた


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