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【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】

[121:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2007/08/16(木) 15:51:32 ID:Tj43/Eng)]
夏休みなのにすんごい停滞してる……。ラッパー側全然進んでなかったので進めてみました。

270.決意[3日目午前]

突然の叫び声。
幾度となる魔法の行使と思われる音。
どう考えても、大規模な戦闘が行われている。
二人の騎士は、不安を消せないでいた。


270.決意[3日目午前]

突然の叫び声。
幾度となる魔法の行使と思われる音。
どう考えても、大規模な戦闘が行われている。
二人の騎士は、不安を消せないでいた。


本当なら、今すぐにでも飛び出して助けに行きかったであろう。
だが、♂モンクと♀騎士を放っていくわけにはいかない。
「どうしたものだろうな……」
今更だが、そう漏らさずにはいられなかった。
♂モンクは一向に目覚める気配がないし、♂騎士自分、いつ狂うか分からないのだ。
「♂プリーストさんと♀ハンターさんは大丈夫でしょうか……?」
不安になったのか、♀騎士が聞いてきた。
確かに定時放送を聞いていれば、ミストレスが死んだということが分かるはず。
ならば、安全になったここに戻ってくるはずである。
……だが、一向に戻ってくる気配がなかった。
「まさか、さっきの叫び声は……」
♀騎士は、はっとして顔を上げる。
その顔は、不安の色で覆いつくされていた。
「……何かあったんでしょうか……助けに……」
「だめだ」
助けに行かないと、と言おうとしたのだろう。
♂騎士が、それを遮った。
「♂モンクはどうするんだ? 放っていくわけには行かないだろ?」
「でもっ……!」
♂騎士の指摘に、♀騎士は反論できない。
♂騎士は更に続けて、
「……それに、もし誰かに襲われたらどうするんだ? 最悪、殺さないといけないかもしれない」
その言葉に、♀騎士は何も言えなくなった。
確かに、自分には人を殺す自信が無い(尤も、それは♂騎士も同じなのだが)
♀アーチャーの件も、♂騎士が一緒だったから出来たのだ。
一人であれば、出来なかっただろう。
更に、精神的な問題もあるが、武器の問題もあった。
♀騎士は、シールドと錐しか持ってないのだ。
盾のスキルが豊富なクルセイダーならともかく、騎士である。
錐だけでは、どう前向きに考えても威力不足は否めない。
♀騎士には、反論する材料は無かった。
「……ごめんなさい……」
何も言えず、♀騎士は謝るしか出来なかった。
「……ごめん、俺も言いす……っ!!?」
♂騎士もバツが悪かったのか、謝ろうとしたときだった。
「ぁ……うああああっ!!?」
突然の叫び声に、♀騎士は顔を上げる。
そこには、突然苦しみだした♂騎士の姿があった。
「♂騎士さん!? どうしました!?」


身体が、熱い。
焼けるように、このまま消し炭になってしまうのではないか。
先ほどまで無かった痛覚が全身を駆け巡る。
(ちくしょう!またか……!)
最初や二回目より、酷い。
あまりの痛みにのた打ち回り、その度に更なる痛みが襲ってくる。
まるで、全身の痛覚が異常に鋭敏化しているような……。
――そろそろ疲れてきたのではないか?
まただ。
頭の中に直接響いてくる、不愉快すぎる声。
――いくら足掻いても逃げられんぞ? この現実からはな。
  それともどうした? 我に屈する気になったか?
屈する? 俺が?
「……っ黙れよ!! 誰がお前なんかに……ぅあっ!?」
――ほう、あくまでも抵抗するか。
  抵抗したいのならばすればいい。だが、いつまでもつかな?
  あの時もそうだった。あれだけ強く誓ったのにも関わらず、結局は自分で殺してしまったではないか、♂アルケミストを。
「あれは……っ!」
自分が、またしても恐怖に負けただけだ。
もう負けるつもりはない!
『「信じて……くれないか、俺のこと」』
裏切られても尚、無理して笑顔を見せた親友の顔が脳裏に浮かぶ。
そう、俺はもう負けない、負けるわけにはいかない!!
――♀アーチャーの時はどうなのだ? あれこそ、自身の渇きを潤したかっただけではないのか?
  奇麗事を言ってはいたが、それは渇きを潤すための口実であろう? 私には分かるぞ。
  さあ、言うのだ。「もっと殺したい」とな。
「違う! 好き勝手なことをベラベラと喋るな!!」
俺は、あの子が望んだことをしただけだ!
自分から望んだわけじゃない!
『「……ありがとう」』
……ありがとう? 何でありがとうなんだ?
だが、少なくともあの子は、『王子様』といることを望んでいた。
俺は……。
……あれ?
なんだ?
気持ちよくなってきた……な。
――やはり人間は単純で良いな。いとも簡単に手中に落ちてくれる。勝手に暴れて体力を消耗してくれるとは、やはり単純すぎるな。
  あの白装束達にも感謝しなければな。お前も感謝するのだぞ? あの白装束達にな。
白装束?
ああ……そういえばそんなのもいたな。
なんか、どう……でも良くなってきた……。
さっきまでは不愉快だったこの声も、なんか心地よく響く……。
――さて、周りに獲物はたくさんいることだ。まずはその物達から殺してしまえ。
  なに、なんの事はない。そのツルギを、一振りするだけでいいのだ。一撃でカタがつくぞ。
  少なくとも、今のお前にはそれだけの力がある。さあ、やるのだ。
ツルギ……ねえ。どちらかと言えばクレイモアの方がいいんだがな。
――青箱をまだ開けてなかろう? 後で開けてみれば良い。
  そこに♀騎士がいるだろう? さっさと殺してしまえ。
♀騎士、か。
そうだな……。


ん?


なんだ?


『「ごめんなさい。あたし、最後まで迷惑を……」』


誰だ?


『「あなただけを苦しませることなんてできません」』


ダレダ?


『「私の手も、汚れていますから」』


アあ、コれは……。


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