【18歳未満進入禁止】みんなで創る18禁小説Ragnarok ♀×♀ 第6巻【百合】
[129:Chase(3/5)(2009/08/17(月) 21:37:52 ID:p9I7vei2)]
リリは噴水広場のベンチにちょこんと座っていた。
どう話しかけたらよいのか分からないまま、取り合えず彼女に謝る。
「ごめんね……さっきの……大丈夫?」
「大丈夫って?」
「PTの人……狩りだったんでしょ?」
「全然いいんだよ、そんなこと。それより……」
「?」
「どうして私の前から突然いなくなっちゃったの?」
リリは意を決したような表情で私に聞いてきた。
あの頃の私達には2人の間にある感情が何なのかいまいち分かってなかった。
でもその答えはお互い離れてみて初めて確信に変わる――
私は全てをリリに話した。
身売りされたこと、その後どうやって暮らしてきたか……余す所なく。
彼女は疑問に思うこともあっただろうけど
一切訊ねることもなく、静かに聞いているだけだった。
「――大体こんな感じ。っていきなり理解できるわけないよね」
「疑って……ごめん」
「ううん、何が?」
「私ね、ミスティに捨てられたとずっと思ってたんだ」
「どちらかっていうと、私が捨てられる側だよね。リリはお嬢様で私は平民だし」
「そんなの関係ないでしょ?」
「……うん」
「貴女がいなくなってから、ずっと後悔してたの。好きだって言っておけばよかったって」
リリのそんな言葉に私は声が出なかった。
全く同じこと考えてたんだって打ち明けて、そっと抱き締めたくなる。
でも怖かった……私にはそんな資格がない気がして。
私はそのまま押し黙ってしまう。
ほんの一瞬だったのに、その沈黙は物凄く長く感じた。
「……ところでさ、ミスティ今どこに住んでるの?」
リリは自分の発言がまずいと思ったのだろうか、突然がらっと話題を変えてきた。
「プロンテラだよ、場所だけなら結構いいところ。買い物とか便利ー」
「私今日泊まるところないんだけど、行ってもいい?」
「もちろんいいよ! 部屋狭いけど……でもどうしても抜け出せない仕事があって」
「私でも手伝える類の?」
「そうだったら良かったんだけど守秘義務がね……たいしたことじゃないし夕方までに帰るから
先うちで待っててくれない? 夕食をリリお嬢様に振舞って差し上げよう!」
「ほんと!? 嬉しいな! 私クリームシチューがいい。あともうお嬢様って呼ぶのも駄目!」
そんなことを言いながら顔を見合わせて、二人で心底嬉しそうに笑う。
私は住所を書いたメモをリリに渡して、一旦彼女と別れてローグギルドに頼まれていた仕事に向かった――
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