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【18歳未満進入禁止】みんなで創る18禁小説Ragnarok ♀×♀ 第6巻【百合】

[50:レーニャとチェリム その3(前編) 2(2008/06/28(土) 19:26:36 ID:HOybdS02)]
住まいはセーテスと別々だった。
それが私とセーテスとの関係を長い間続けてこられた理由だと、私なりに考えていた。
アルベルタからイズルードに戻ってきた港で、彼女はその港町に、私はここから歩いて半日ほどの首都
プロンテラに居を構えていたから、そこで狩りの収集品をお金に換えて多少の船賃に充てる。
それからお互いの帰る場所へと散っていく。
ひとりで修行するときは亀の島の洞窟にこもるけれど、誰かと組むことになる場合は大抵、住まいまで戻る
ことにしていた。これといった理由付けはしていないけれど、考え方を切り替えるには丁度よいきっかけに
なった。
別に、アルベルタに泊まっても良かったのだけれど、そろそろ手持ちが少なくなってきていたことをセーテスと
ともに実感していたので、お互いここからお金も入る場所に狩り場を移すことを相談していたという経緯も
あったから、ここはいつもどおりの道のりをたどることにしていた。
一戸建てではないにしろ、集合住宅の一角にある住まいに、一人で帰ってくる私。すっかり辺りは暗くなり、
露店商人たちも明かりが欠かせない時間帯になった。
手持ちが無い、とはいえ資産自体はそれ相応の装備品を十二分に準備できるだけのものをもっているわけで、
完全な貧乏暮らしではない。単純に運用の問題だ。セーテスもそれなりに装備を整えていたけれど、まだまだ
これからであろうことは伺えた。
なお、詳細については省かせてもらうけれど、基本的な特化武器、属性武器はすべて揃えていたし、特に
属性武器はホーミラに割り引いて作ってもらえたから、手放すのは当然惜しいものだ。
武装は解かず、イズルードとミッドガッツ王国の陸地をつなぐ橋に差し掛かる。中央でクランクしているその橋
には、時折カップルや、観光客などなどを見かけるが、今日はそういった人たちの姿を見かけることは無い。
ここを通るのはもうひとつきぶりくらいだっただろうか。アルベルタに滞在する時間が長くなかなか家に戻って
こられないのは、修行に明け暮れること自体に半ばとりつかれているような無意識に支配されている自分が
いるようだった。
吹き付ける潮風を体に感じながら、石畳を一歩一歩進む。足取りは重くない。疲労自体はだいぶ重かった
けれど、それはまったく枷になっていない。
私はそのまま真っ直ぐプロンテラへの道のりをたどるつもりだった。
寂しげなその姿を見るまでは。


「そうなんだ。そのときに、あなたはチェリムと運命的な再会を果たしたのね」
「……話のこしを折らないでほしいんだけど」
「ああ、ごめんごめん、でも今らぶらぶですごくうれしそうよ?」
いや、そこまで私はチェリムと熱い関係ではないんだけれど。むしろ、暖かなぬくもりのある関係というほうが。
チェリムとの出会いについて聞かれたので、私はついついそのいきさつを話してしまっていた。
相手は、たまたま呼び止めてきた、行きつけの露店商人にしてブラックスミスのホーミラである。露店商人は
ちゃんと売り子して商品をアピールしなければならないというスタイルもあるけれど、彼女の場合は看板立てて
座っているだけで勝手に品物が流れていく。
鉱物商メインだから当たり前といえば当たり前なんだけれど。
「さては、あのときにいたずらしたせいで、火がついちゃったかな、彼女」
「やめろよ、そんなんじゃない」
「あら、そう言い切れる?」
まだ20もいっていないのに、私のほうがだいぶ年上のはずなのに、ホーミラの口調はどこか挑発的で目線は
下向きだ。もっとも、年齢は後から聞いた話で、実際見た目は同い年くらいだと思えるから、私自身そこまで
不機嫌にはならないんだけれど。
そんなホーミラの指摘は、私の否定を突き崩した。
「それは……チェリムじゃないとわからないけれど」
「でしょ。あんなにえっちな人だから、きっとそうなるだろうと思ったけどね。なんというか、♀×♀えっちもして
みたいーっていうような? 私もそういう気持ちわかるなぁ」
「いや、ホーミラはノンケだろ?」
「ノンケって、そりゃノーマルだけど、でも同性愛を否定しないし、同性のえっちはあってあたりまえだと思うもの」
ホーミラって好奇心だけは人一倍、だからか、そんな話題を持ち上げても嫌悪という言葉の意味するところが
彼女から感じられなかった。興味津々、という言葉だけ、今の彼女にあった。私とチェリムのことは、野次馬
根性丸出し、という言葉が似合いそうなほどに、知りたい見てみたい他人事としてホーミラの中にあった。
「私はチェリムじゃないけど、私がチェリムだったらそう思うな、うん」
「あのね……」


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