【18歳未満進入禁止】みんなで創る18禁小説Ragnarok ♀×♀ 第6巻【百合】
[73:lily love(2009/01/27(火) 10:25:55 ID:f8uD9o0U)]
それからぴーちゃんが出てきたのは1時間ぐらいしてからだった。
何かと時間のかかる女の子としてはそれぐらい普通といえば普通だけれど、
元からあまり必要としてないような彼女にしては珍しい。
羨ましい話だが、素地が素晴らしいせいであまり手の入れようが無いのだ。本人の自覚は無さそうだけれど。
そうそう、ぴーちゃんっていうのはわたくし内での彼女の愛称。
プロフェッサーらしくないところを簡潔に上手くそれでいてキュートに表現していると思うけどどうかしら?
ただのせーちゃんとは違うのだよせーちゃんとは。
「んー!さっぱりしたわ!ここの宿、湯加減だけは最高ねっ」
お風呂上りですっかり上気した頬が、さっきの更衣室の時の顔を私に思い出させ、ドキリとした。
そんな私のことには構いなく、椅子は私が既に座っているので、その傍のベッドに腰掛ける。
なんだかさっきの私の本への仕打ちをもう忘れたかのようなご機嫌ぶりに、ちょっとカチンときた。
「いつもよりなんだか長かったみたいですけど…もしかしてー、その、しちゃったですかあ?」
にひひとおじさん的な笑みを浮かべてみる。
恨みも溜まっていることだし、たまにはからかってやろう。
きっと、猛烈に否定したあげく、私に説教でも始めようとするに違いない。
どんなタイミングでするりと逃げてやろうかな?
「しちゃう・・・?何を?……うーん??」
その腹黒い思惑は、しかしすぐに回避されてしまった。
さっぱり見当が付かないといった表情のぴーちゃん。
やがては眉を寄せて人差し指をこめかみに当てて本気で考え始める始末。
ああもうっ。
こうなったら直球投げ込んでやる。
「あの、まさかですけど…。オナニー、知らないんです?」
ど真ん中ソウルストライク。
あまりに単純な私の問いかけぴーちゃん、目をぱちくりぱちくり――って?もしかして分かってない?
あらまあ。まさか、そのまさかの初耳だったとは…。
「えっ?知ってるわよ?もちろん!」
「………。」
あ、これって絶句っていうんだ。
今の話の流れで全く有りえない回答、大変ありがとうございました。
当の本人、さも当然。何故そんな当たり前のことを聞くの?――といった表情。
そ、そうよね、いくらそっちに疎そうに見えたって、それぐらい知ってるわよね。
ただ、お風呂→長すぎる→しちゃうと言って、それを連想しないほどそっち方面に疎かったというだけで…。
「確か正しくはこうだったわよね…」
え、正しく――って?
言葉の意味を測る間もなく、ぴーちゃんはとうとうと語り始めた…。
雄男兄(O Nan Ni)…。
古来よりアマツに伝わる、男子のみに許された神事を発祥とする格闘技。
その名前は、粉骨砕身も厭わぬ余りに猛々しいぶつかり合いに由来する。
ちなみに、現在における拳聖の温もりスキルは、この雄男兄を原型にするといわれる…。
「『緑と縁の地アマツ 民…書房刊』に記述が残されているわ。発刊元は傷付いていて判別できていないけど」
ズデデーン!
思わず椅子から転げ落ちそうになる…気がするぐらいにずっこけた。
いや実際は、ただただ呆気に取られているだけなのだけど。
しかしこの先輩ときたら、天然天然だとは思っていたけど。うーん、そうきたか。
「この構造を解明出来たら、これからの魔、もしくは神…との戦いにおいてきっと役に立つわね」
神妙な面持ちで話を続ける先輩。
こういうときにはぴーちゃんじゃなくて本当にプロフェッサーなのだなと改めて思う。
あくまでも学問に対する態度に限定されるけど。
「せーちゃん、一緒に研究する?温もりスキルはまだまだ謎が多いものね」
そんな世迷言ばかりの書籍の一説を信じて研究だなんて一体誰が…と思った矢先。閃いた!
ぼけぼけしているのに生意気にも教授たる地位を得ているこの友人をいじり倒してやる名案が。
早速からかいリベンジに移ります。
「こちらこそお願いしちゃっていいです?ちょっと一人じゃ挫折しそうだったところで…」
「あら、挫折なんて絶対にだめよ!最期までちゃーんとやり遂げないと研究者の名折れよ?」
しかも自ら伏線まで張ってくれるだなんて実にありがたい。
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