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【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
- 124 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/13(金) 00:19:43 ID:oH9Cb3Hc
- はさり。
 
 暗闇の中で、何かが落ちる。
 
 「心まであなたに渡す気はないけれど」
 「代償関係でしょ?澪珂(れいか)」
 
 男女はそのままベッドに倒れ込んだ。
 
 *****
 
 「レイカー、次のセシル行くー?セイレン飽きたならそっち回すけどさー」
 
 ボス狩りギルド、CC2。これは略称。
 こんな会話は日常的だ。少なくとも、ここでは。
 今日もコーヒーを飲んでいる途中でハイウィザードのネルに声を掛けられた。
 
 基本的にここは誘い合いで狩りに行く。それが設立者の意向と聞いた。
 だから生活時間帯が合ったメンバーでつるんで行くのだけど、ネルは最近あたしに声を掛けてくることが多い。
 
 「んー…前回ネルは留守番だったし、いってらっしゃい。あたしは今回は休みでいいかな」
 「ちぇー、オレのIW捌き見せてやろうかと思ったのにさー」
 
 だからなのだ。ネルはあたしが蜘蛛する前に反応してる。
 居れば助かるけど、仕事を半分取られた気分になるのだ。その辺のワガママはさっき朱羽に突っ込まれたのだけど。
 他にも教授はいるのだし、前回行ってきて疲れてるから断った。ま、これだけじゃ半分の理由にしかならない。
 
 「じゃあレーカ、質問してい?」
 「くだらないのじゃなければ」
 「夜空いてる?」
 
 せっかくコーヒー飲んでたのに、吹きそうになった。
 
 「あー…ごめん、今日はダメ」
 「オレ、本気でレイカ好きなのにな。夕飯くらい一緒でもいいだろー?」
 「ごめんごめん、次の日ならいいから」
 
 ひらひら手を振りながら謝る。
 ネルがあたしに好意を抱いてるのはちょっと前から知ってた。ネルはおおっぴろげな性格だしわかりやすい。
 あたしも、好きじゃないと言えば嘘になる。気さくだし、顔も悪くないし、狩りも上手いし。
 けど、今日断ったのは訳がある。
 
 「んじゃ、明日を楽しみにしながら次に出ないことはサブマスに報告するとするかな」
 「わかったー、よろしくね」
 
 パタンとドアが閉まって、談話室からネルが出て行く。
 彼はきっと、サブマスのところに次の狩りメンバーを報告しに行くのだろう。
 
 「…ごめん、ネル」
 
 どうしてあたしは、こんな不自由なんだろう。
 話してしまえば楽になるのに、そしてきっとネルはそれを笑い飛ばすのだろうに、あたしはそれをしない。
 心が、少しだけ疼いた。
 
 *****
 
 誰も来ないような路地裏の暗がり。
 いくら首都プロンテラといえ、夜にはこーいう暗がりはできる。そして、自衛手段の無い人間が来るべきじゃないことも知ってる。
 あたしはそこで歌が聞こえはじめるのを待っていた。
 
 遠くから微かに歌が聞こえはじめる。
 澄んだテノールの、きれいな歌声。
 あたしはその場所に向かって走った。
 だけど心は弾まない。
 だって、これは。
 
 「遅かったね」
 「…マスター」
 「そっちが勝手に待ってる。僕は気分でここに来る。来たくなければ止めてもいいんだよ」
 
 マスターのクラウン…一夜は歌うのを止めてくすくす笑う。
 そういう笑い方が似合う一夜。だけどその声その仕草に威圧感があるのはどうしてなの。
 
 「…まだ言えてないんだ」
 
 すっと近寄られて耳元で囁かれる。
 あたしの弱みを、一夜はくすくす笑って楽しんでる。
 
 「だから、ここに来たのよ。お互い利用し合うために」
 「それが唯一の目的だよね、澪珂」
 
 一夜はきれいな発音であたしの名を呼ぶ。
 …あたしにこの名前をくれたのは一夜だから。
 
 「目的が果たせれば何でもいい、一夜もそうでしょ。詮索は無し。早く…」
 「はいはい。じゃ、いつもの場所で」
 
 パシュンと一夜は姿を消した。ハエの羽でも使ったのだろう。
 これはお互いがお互いにその場だけの関係でいるための防衛策。
 あたしも、ハエの羽を握り潰した。
 
 *****
 
 とある宿屋の一室、そこで一夜は待っていた。
 そんなに時間が経ってないのに、度の強そうな酒を一瓶空けてる。声が台無しにならないのだろうか、クラウンなのに。
 
 「飲みすぎ」
 「耐性が強すぎるんだよ、困ったねぇ」
 
 笑んだその姿には酔った気配が見られない。
 外見は中性的なくらいなのに、恐ろしい男。
 
 「何怒ったような顔して。僕はユリアの義子だもん、耐性くらい仕込まれてて当然だって」
 
 一夜はユリナスリア──あたしの母の、義理の子。
 捨てられた実の子のあたしと違って、母さんに育てられた子。
 死んだ母さんに繋がる、唯一の人間。
 
 「あたしと違って、愛されたくせに」
 「僕も澪珂と同じだよ。僕はユリアの代理、つまり身代わりでしかないのだから、ハハオヤに愛されなかったのは一緒でしょ」
 
 だからこうして愛されなかった寂しさを紛らわすのだ──義理の兄妹なのに。
 理由はそれだけじゃないのはお互いにわかってるけど、詮索はしない、ただ利用するための関係。
 
 
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