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【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
- 199 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/03/29(火) 19:31:24 ID:ggMpie66
- 長らく書いていたものが完成したので投稿させて頂きます。
 少し変わった?書き方をしたので読み辛いかもしれませんがご容赦を。
 それとかなり長いのでスレの消費をご容赦下さい。
 
 「木陰の人」
 
 
 Black side story 1 (ウォーロック視点)
 
 ウォーロックになってからというもの、俺は毎日のように狩りに明け暮れていた。
 来る日も来る日もダンジョンに通い、臨時パーティーに参加して自分を高めていた。
 毎日臨時広場に通っている中で、ふとあることに気づいた。
 臨時広場の外れにある木陰に、いつも同じ人が座っている。
 真っ白な長い髪をそよ風に靡かせ、染み一つ無い真っ白な法衣を着て、透き通るような真っ白な肌をした女性のアークビショップが。
 そんなことに気づいてしまうと、ついその人の方を見てしまう。
 そんなとき、ふと、知り合いに声をかけられた。
 
 「シューさん、ぼーっとしてると危ないですよ?」
 
 どのくらいその人を見つめていたのだろうか、ふと我に返り振り返るといつも一緒に狩りをしているルーンナイトがいた。
 ショートカットの赤髪を揺らして、ニコニコと笑みを浮かべる童顔の女。
 見飽きるほどに顔は見ているのだが、いつも笑っている気がする。
 
 「何だ、テスタか」
 「もー、何だはないでしょー?」
 
 テスタは子供のように頬を膨らませるが、俺はその右頬を指で押す。
 瞬間、テスタの口から空気が漏れ、一瞬だがひょっとこのような顔になる。
 
 「乙女の顔に何てことするんですかー!」
 「悪い、お前乙女だったのか?」
 「こんな美少女を捕まえて言う台詞がそれですかー!?」
 
 わざとらしく驚愕した表情を作って反論するテスタの顔は確かに可愛らしいと思う。
 しかし、自分で言ってはその魅力も半減だ。
 
 「そんなことよりテスタ、お前、あの女を知ってるか?」
 「あの、白い人ですかー?私は知りませんけどー?」
 
 話を変えるためにといっては失礼だが、白い女を軽く指差した。
 当然テスタも知るはずは無く、きょとんとした表情で首をかしげている。
 
 「まあ、そうに決まってるよな。仕方ない、狩りにでも行くか?」
 「それは構いませんけど、支援の当てはあるんですかー?」
 
 言われてみればそうだ、辺りを見渡してもフリーであろう支援は見当たらず、ギルドの者も出払っている。
 
 「当てが無いならあの人誘ってみればいいじゃないですかー」
 「どう見ても狩りに行きたい、って風じゃないが……」
 
 先ほどから、白い女は眉一つ動かさずただ佇んでいるだけだ。
 誰が見ても狩りに行きたいとは思わないだろう。
 だが、ダメもとという言葉もある。
 
 「迷ったらごーですよ、ごー!男の子でしょー!」
 「まあ、他に手段はなさそうだしな。やってみるか」
 
 俺は身なりを軽く整え、白い女の下へと歩を進める。
 後ろからは楽しそうな笑顔を浮かべたテスタがひょこひょこと付いて来ている。
 白い女がこちらに気づくように、わざと俺の影が重なるようにして近寄った。
 案の定、白い女はこちらの影に気づくと、ゆっくりと顔を上げ俺の方を見てきた。
 節目がちではあるがそれを押しのけるほど整った顔立ちをしている……美人だ。
 
 「失礼、もし良ければ私達と何処か狩りに行きませんか?」
 「…………」
 
 白い人は小さく頷いた。
 拒否されると思っていたのに、承諾してくれたのが意外だった。
 
 「それは良かった。何処か行きたい場所はありますか?」
 「…………」
 
 白い人はゆっくりと首を左右に振った。
 どうやら話すのが苦手らしいが、ここまでの人は始めて見た気がする。
 
 「では、名も無き島の修道院にでも行きましょうか。私はシュバルツ、以後お見知りおきを」
 「シューさん何かっこつけてるんですかー?私はテスタ、よろしくー!」
 「……ブラン……です……」
 
 幸いブランは名も無き島直近のポタを持っていたからスムーズに狩りに出かけることができた。
 ブランが支援を一通りかけると、テスタが先陣を切る。
 
 「いきますよー!ごーごー!」
 「あまりはしゃぎすぎるなよ?」
 
 これから魔物を倒そうというのに終始笑顔のテスタは猪突猛進といった勢いで前を進んでいく。
 途中、テスタは進軍の邪魔をするラギッドゾンビを見つけては、その小さな体には不釣合いな重量の槍を振り回し、叩きつける。
 
 「スパイラルー!ピアース!」
 「……滅せよ……」
 「砕けよ心、散れよ魂!ソウルエクスパンション!」
 
 超重兵器の一撃とはいえ、一撃で魔物を落とすことはできない。
 追撃に放つ魔法の詠唱中にブランはLAを落とす。
 
 「その魂…我の中で生きよ…」
 
 魔物の魂の残り香を吸収し、己の精神力に変える。
 魔法を連打することになる狩場ではソウルドレインは無くてはならない存在だ。
 
 「まーたかっこつけてー!って、多っ!?」
 「彼の者を護れ、セイフティウォール!」
 「……加護を……」
 
 調子に乗りすぎて魔物の大群に突っ込んだテスタに防御壁を重ねる。
 それと同時に、ブランは傷を癒す聖域をテスタにだけ展開する。
 
 「集えよ魔力!祖は天を焼き地を滅ぼす…その炎の欠片を我が力に!クリムゾンロック!」
 「……護りを……」
 
 魔法力増幅をかけたクリムゾンロックですら、ネクロマンサーやバンシーを一撃で打ち落とすことはできない。
 それをわかっている様子のブランは攻める事よりもテスタを護ることに徹し、聖壁をテスタに纏わせた。
 そしてもう一撃、魔法力増幅をかけたクリムゾンロックで魔物を一掃する。
 
 「はしゃぎすぎるからだ」
 「ごめんなさーい…でも、後ろで見ててくれる人がいるからできるんですよー!」
 「…………」
 
 懲りない様子のテスタはまた一目散に駆け出していく。
 竜の手綱を引くその小さな体は、とても頼もしげだった。
 やれやれ、といった様子でブランの方を見ると、ブランは若干微笑んでいた気がした。
 それはとても小さな微笑だった。
 その後俺達は特に危険も無く、狩りを終えたのだった。
 
 「あー、楽しかったー!ブランさん支援上手ー!」
 「本当にな。これからもまた、宜しくお願いしたい」
 「…………」
 
 ブランはテスタの言葉には首を横に振ったが、狩りの誘いには小さく頷いた。
 的確に支援をしてくれるブランの様な支援は本当に狩りが楽しくなる。
 ただ、今度はもう少し口数が増えるとありがたいのだが。
 
 「シューさーん、おなかすいたー!」
 「そうだな、何処かメシでも行くか。ブランさんもご一緒にどうです?」
 「…………」
 
 一瞬ブランの動きが止まったように見えたが、その首はゆっくりと左右に揺れていた。
 無理に誘うのも気兼ねな話なので、俺たちはその場を後にすることにした。
 
 「では、また宜しくお願いします。」
 「まったねー!」
 「…………」
 
 ブランは小さく頭を垂れ、俺たちを見送っていた。
 その視線を背中で受けながら、俺たちは良く行く酒場へと歩を進めたのだった。
 
 「ビールを」
 「ヴァーミリオンザビーチー!」
 
 テスタは小柄なくせして酒には滅法強い。
 俺はそこまで強くないので、そんなに度数の高い酒は飲めないのだが。
 
 「そういえばー、ブランさんって不思議な人でしたよねー?」
 「不思議というか、ミステリアスというか…独特な雰囲気の人だったな」
 「あんなにきれーなのにもったいないですよねー」
 
 確かにあれだけの美人で愛想もよければ男に困ることはないだろう。
 だが、折角の美貌も愛想が無ければただの芸術品と変わりない。
 つまるところ、美しいとは思っても恋をする対象ではないということだ。
 
 マスター「はいよ、ビールにヴァーミリオン、お待ち」
 「どうも」
 「ありがとー!」
 
 キン、と軽くグラスを合わせてから中身を飲み干す。
 乾いた喉に炭酸とアルコールの刺激が心地よい。
 
 「明日も広場にいるだろうし、また誘ってみるか?」
 「なんでそんなことわかるんですかー?」
 「毎日あの木の下に座ってるからな」
 「そんなに見つめてるなんてー、まさかシューさん、ブランさんのことをー!」
 「バカタレ」
 
 ぺし、と軽く頭を叩きテスタをいなす。
 何か訴えるような瞳でこちらを見つめるテスタを無視したまま、出てきた食事にありつく。
 そうして俺とこいつの日常は、いつもどおり幕を閉じるのだった。
 
 
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