アコたんvsメカアコたん Part6
[149:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/04(日) 12:15:23 ID:gJE20Vvc)]
焦土と化した地を、紫の法衣に身を包んだ一人の女が歩いている。法衣自体は普通のものだが、着ることを許された者は少ない、高僧の証
女は美しかった。長いルビー色の長髪、ゆるやかに切れた目尻、固く結んだ赤い唇。均整の取れた長身と相まって
絶世の美しさを醸し出している。
しかし、この地では美しさになんの意味もないのかも知れない。全てが死んでいる死者の町では
そして女は破壊が最も激しい場所、つまり焦土の中心に着き、頭を巡らした。それに合わせて揺れる髪がサラ…と音を立てる
焦げた土とばらばらの金属部品と…死体。それがそこにある全てだった
女はやや不機嫌そうに眉をしかめたが、それらに女は歩み寄った
死体の内、一つは騎士だった。身につけた鎧の形でプロンテラ騎士団のものだと分かる。その鎧は胸部が粉々に砕けていたが
その原因は容易に知れる。騎士の胸に突き立った巨大な槍が背中まで貫通し、大地に刺さっている
そのため騎士は仰向けに倒れていながら地面に背が付いていない。さながら昆虫の標本のように串刺しにされている
女プリーストは、ヒールを唱えるでもなく、冥福を祈るでもなく…いきなりその槍を蹴飛ばした!
「さっさと起きなさい!」
衝撃は気体より液体、液体より固体の方がよく伝わる。騎士はそれを実感していた。プリたんの蹴りの衝撃は槍を伝わり
騎士の体にも容赦なく伝わった
「…!…!?…がっ!…ごふっ?…が、がはぁっ!?」
いまだ標本状態のまま盛大に喀血するトリスを、プリたんは観察者の表情で冷ややかに見守った
「…な…何、しやがる…んだ…?」
「やっぱり生きてたのね。さ、アコたんを助けにいくわよ」
「さ、…じゃねーだろ!死ぬかと思ったぞ!」
「胸を貫通されて死んでないほうが驚きだわ…それより、それだけ元気ならもう立てるんでしょ?」
「まぁ、…一応…」
どうにも納得できないまま頷くトリスにプリたんは優しく手を差し伸べた
「ほら、起こしてあげるわ」
「ああ…ありがとう…」
半信半疑でトリスも手を伸ばすが、その手は空しくすれ違った。プリたんはトリスの槍に手を伸ばすと、そのまま引き起こした!
トリスを引き起こしたプリたんが、軽々と巨大な槍を引き抜く。当然穴が開いているトリスの胸と背中からは、勢いよく血が溢れだす
「ぐはぁっ…がっ、…っ……ウスラーッ…!」「む」
血まみれになりながら、破れかぶれに叫ぶトリスの声に応えて、右腕のウスラーがその再生能力を発動させる
トリスの胸から出血が止まり、次に急激に肉が盛り上がり胸の穴を埋めていく
「おお、人体の驚異…じゃなかった、人外の驚異よね。むしろバケモノ?」
「死ぬ…もう死ぬ…今度こそ本当に死ぬ…」
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