【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】
[128:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/28(水) 22:27:20 ID:B9gzgPcA)]
mabinogiコター
[129:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/29(木) 10:08:34 ID:FcA1itgA)]
返事がないのでのっけるだけのっけてみようと思います|ω・`)
再活性を願って。
[130:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/29(木) 10:10:03 ID:FcA1itgA)]
首都プロンテラのお膝元、港町イズルード。この街からしかいけないイズルードダンジョンは中級者が鍛錬するにはうってつけの場所である。そうガイドブックに書いてあった。なるほど、なり立てらしき2次職がカプラに群がっている。大体こういうガイドブックにはその地域のマイナス要素なんてのは載せない。当たり前といえば当たり前だし有名でもあるから言わなくてもいいことなのだが、イズルードダンジョンは『機械』の巣窟でもあった。それに実際カリカリきてる人間も少なくない。でも、ガイドブックに書いてあることは間違ってはいないからこの少女のような冒険者は後を絶つことはない。
赤いコートに扇情的な網タイツ。栗色の髪の毛をノービスカット(美容院のお姉さんはそう言って、よく似合うと褒めてくれた)にした少女にはその格好は少しアンバランスで、他人が見るとどうもその童顔では一部のロリータフェチの人間を興奮させてしまうだけにしか思えないのだが、少女はこれが大人の悪党の格好だと信じきっているようだった。
何故少女が「大人の悪党」なんかを意識しているのかという明確な理由はない。しいて言えば「それがカッコイイ」と思ったからにすぎないだろう。そばにあったベンチに座り、そこそこ愛用して柄が少し黒ずんだダマスカスを手の中でくるくる回しながら少女はまたガイドブックに視線を落とした。その仕草は子猫が丸い石ころで遊んでいる姿を彷彿とさせたが、それを指摘すれば彼女は機嫌を傾けてしまうに違いない。
ガイドブックには海の幸の素晴らしさとリーズナブルさが前面に押し出されていて、少女の知りたかった冒険者用の安くてツケのきく宿泊情報などが少しばかり欠けていた。本来ならここでギルドの人間を頼ったり、カプラからの支給品で友達にWISコールなりをすればいいのだろうが、少女にはそういう人物に心当たりはなかった。唯一の家族である兄は行方不明だし、大体その兄を探すために旅をしているのだ。ならば、少しばかり財布に相談して旅行者用の宿に泊まってしまえばいいとも考えたが…
「どうしよう、駄菓子も買えない。」
省略7
[131:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/29(木) 10:10:38 ID:FcA1itgA)]
少女がひもじさに打ちひしがれ、空腹をもてあましているとどこからかギターの音色が響いてきた。それは鼓膜と同時にすきっ腹にも響くために彼女の機嫌はすっかり傾いてしまった。顔を上げると小さな人だかりができており、その中心に逆恨みではあるが、不機嫌の原因があった。
まず印象に残るのは仮面だろう。白くいかついそれは何かのモンスターをかたどったものだと露店の売り文句にあった。頭を覆うバンダナにやたらと細身のシルエット。雰囲気の割りに若い声。そして違和感。だが、少女の目を引いたのはそのどれでもなく、おひねりとしてギターケースの中に放り込まれたzeny紙幣だった。
「(いいなあ、あれだけあったらしばらく食いつなげる…。)」
気づくのが遅かったかもしれない、そういえば彼女はローグなのだ。成り立てとはいえ。ということは、得意とするのは窃盗だとか恐喝だとかいう物騒な手段だろう。力なさそうな詩人をひねるだけの仕事効率のよさは今の彼女にとってはまさにうってつけの方法に思えた。
省略19
[132:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/29(木) 10:11:12 ID:FcA1itgA)]
何故こんなことになったのだろう。わからないが今、少女の口内はピザに占領されている。存分に味わったそれを嚥下し、すぐさま次の一切れをとっては口に運ぶ。炭火にとろかされたチーズにふんわり包まれたピザソースと、ジリジリ音を立てるサラミにまぶされたバジルの香りがこんなにも熱く、食欲を刺激するのは彼女には初めての経験だった。
隣で半ばあきれたように(表情はわからないがきっとそうだ)それを眺めている詩人におごってもらったものだ。
「よく食べるな、見ていて満腹になってきた。」
「ここんとこ、リンゴくらいしか、食ってなかった、のよね。」
「食べてから話すといい。」
省略31
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