◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
[58:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/12/27(火) 22:12:50 ID:FB0N0Omg)]
彼女――小柄で活発なモンクの女性と知り合ったのは、半年ほど前のことだ。
昨晩夕食に連れ出してくれたバードの提案で、
普段ひとりの冒険者ばかりで集まって狩りに行ったのが、出会いのきっかけだった。
狩りよりも魔術論理の研究にかける時間のほうが長いセージだったのだが、
その狩りの後から、ちょこちょことモンクから誘いをうけては一緒に出かけた。
二ヵ月ぐらい経った時、じゃあねと帰ろうとした時、モンクのほうから告白されたのだ。
「つきあってもらえませんか?」
モンクの性格をそのまま表したような、真っ直ぐな言葉に、セージは微笑んで頷いたのだ。
とはいっても、研究好きのセージと、冒険好きのモンクでは、いつでも一緒にいるということはなかった。
モンクに誘われてセージが外に出て行くか、出られないときはセージがモンクを家に呼ぶか。
特別な出来事はあまりないけれど、それなりに幸せだ、とセージは思っていた。
だからモンクも幸せなんだろうと、思っていた。
けれど、彼女のほうから別れを切り出された。
「ごめんね、やっぱり一緒にはいられないよ」
いつものようにセージの家にくると、ぼろぼろ泣きながら、モンクはそう言った。
驚きはしたものの、すぐに、仕方ない事だろうとセージは思った。
やっぱり、彼女は外に出て、あちこち冒険するほうが性に合っているのだろう。
自宅に篭りがちのセージと、今まで上手くいっていたのが不思議なぐらいだ。
ここ半月ほど、モンクの様子がおかしかったのには気付いていた。
狩りに行っても、自宅に来ても、曇りがちの表情をしていることが多かった。
軽やかに動き回っていた小さな体も、随分と大人しくなっていた。
どこか違うところに心が向いているような、そんな感じだった。
別れの言葉に頷きながら、セージは泣き続けるモンクをぼんやりと見つめていた。
別れ話というのは、言われる側よりも言うほうが辛いのかもしれない。
喧嘩別れするほうがまだ楽だったのかな、とセージは思った。
お互いに不満をぶつけ合い、そしてそれが決して満たされないという事を知って別れるならば楽だったろうか。
けれど、セージにはモンクを非難する言葉は出てこなかった。
涙を零す小柄な女性を見ながら、可哀相な事をしたという罪悪感を覚えるだけだった。
そしてモンクも、セージを傷つけるような言葉は何一つ言わなかった。
ただ、ごめんねと繰り返して。
それが三日前の夜だった。
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