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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[59:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/12/27(火) 22:14:03 ID:FB0N0Omg)]
ふられて一日目は、何も考えられなかった。
ペットも孵化させずに、ただぼんやりと家の中で過ごしていた。
恋人だったモンクのことは、不思議と思い出さなかった。
二日目も同じ様に過ごしていたのだが、
どこからか失恋の話を聞きつけた友人のバードに、半ば無理矢理、食事に連れ出された。
その時になってようやく、一日目、二日目とロクに食事をしていなかった事に気付いた。
けれど、食べた物の味は思い出せなかった。
研究に没頭している時にはよくあることだし、セージは気にも留めなかった。
そして、今日で三日目となるわけだ。
「ほら、元気だしてください!」
ポリンの声で、セージの回想は遮られた。
「そうッス! そのためにもまずは食事ッス!」
「そうそう、もうおなかペコペコですよ」
そう騒ぐペット達も、元はと言えばモンクが連れてきたのだった。
初めにドラップス、次にポリン、そして最後にポポリンを連れてきて
「だんご三兄弟みたいでしょ」なんて言いながら笑っていたのだ。
その三匹のうち、一匹として、モンクは連れて行かなかった。
「すいたーすいたー、おなかがすいたー」
「まーだーまーだー、ごはんまだー?」
即興らしき空腹の歌を歌い出すドラップスとポリン、歌いこそしないが一緒に体を揺らすポポリンに、
セージは声をあげて笑い出した。
笑いながら、けれどどこか後ろめたさを感じていた。
ペットもバードも気を使ってくれているのだろうが、
実際、セージはあまりショックらしいショックを受けていないのだった。
自分が悪いのだから仕方ないという、諦めに似たような気持ちがあるだけだった。
セージの家は、モンクが連れてきて、そして置いていったペットが増えた以外は、
彼女と会う前と何も変わっていなかった。
セージ自身も、何も変わっていなかった。
きっと、何もなかったことになるのだろう。
ほんの少しの諦めだけを残して。


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