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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[61:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/12/27(火) 22:15:07 ID:FB0N0Omg)]
確かに、モンクは餌の袋を下の引き戸に入れてくれたのだ。
ポポリンを連れてきた数日後に、彼女はセージがわざわざ踏み台を持ち出して餌袋を取り出すのを見て、
下に移せば良いのにと言った。
だが、整理整頓が苦手なセージの戸棚は、下のほうまで乱雑に物が詰まっていた。
それを言うと、モンクは仕方が無いといった表情で笑うと、戸棚の片付けを始めたのだ。
「私が餌やりするときに、高い位置だったら取るの困るじゃない」
セージよりも更に小さいモンクはそう言っていた。
その日以降、セージの家に来る度に、モンクはペット達に餌をやっては喜んでいた。
だから、それが恋人の本音だと、セージは信じて疑わなかった。
その後に続いた言葉を、今の今まで思い出せないぐらいに。
「それに、研究で忙しい時でも、わざわざ踏み台出さなくても餌あげられるでしょ?
貴方、慌ててると踏み台からすべり落ちそうで心配なの」
あの時、モンクはそう言ったのだ。
何気無い口調ではあったけれど、それこそがモンクの一番言いたかった事に違いない。
だって、愛されていたのは間違いなかったのだから。
外にいけば、いつも嬉しそうな顔で笑っていた。
家にくれば、セージのノートや研究を、興味深そうに眺めていた。
研究に没頭すると周りを見なくなるセージのために、忙しい時には料理や片付けもしてくれた。
自分がいない時でも規則正しく生活できるようにと、騒がしいペットを三匹も贈ってくれた。
ためらう事無く、何度も「好き」という言葉をくれた。
本当に、本当に愛されていたのだ。
けれど、自分と彼女の生活は違いすぎた。
そして自分は、その違いを合わせようとも、見つめようともせず、諦めてしまった。
だから、彼女は泣きながら、一番辛い別れの道を選んだのだ。
その道を選ぶ原因になったのは、大切な恋人を泣かせてしまったのは、
他の誰でもない自分自身なのだ。
そう思った途端、セージの目から涙が溢れてきた。
別れて三日も経って、セージはようやく、失恋したという実感を覚えたのだ。
大粒の涙を零すセージの傍に、まだ大騒ぎを続けるドラップスとポリンの間から抜け出してきたポポリンがそっと寄ってきた。
何も言わず、ただ不安げに見上げてくるポポリンを、セージは抱き上げ、顔を埋めるようにして泣いた。
セージの涙で濡れようとも、ポポリンは逃げようとはしなかった。
声をあげ、しゃくりあげながら、セージは子供のように泣き続けた。


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