◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第2巻◆
[25:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:00:11 ID:vzm3Wxfg)]
一つの扉の前で、鎧姿の騎士の青年はもう五分近くも立ち尽くしていた。
剣士時代から良く言えば勇敢、悪く言えば無謀なことで知られていた彼だったが、
その一つの扉を開けるには、どうしても勇気が足りなかった。
どうしようかと腕を組み考え込んでいると、騎士はふと、自分が手ぶらであることに気付いた。
見舞いに――それもとても大切な相手の見舞いに来たというのに、彼は花の一つも持っていなかった。
迂闊だったと顔をしかめつつ、騎士は内心で安堵していた。
引き返す理由が見つかったのだ。
手ぶらでの見舞いでは、あまりにも気が効かないではないか。
見舞いにくるのは、何か土産を調達してからにしよう。
頭の中だけの言い訳に頷きながら、騎士は扉の前から離れようとした。
が、その途端、扉が内側から勢い良く開かれた。
「わっ!」
「きゃ、ごめんなさーい!」
中から飛び出してきたアコライトの少女が、驚いた騎士に向かってぺこりと謝った。
「もー、何やってんの」
「うっかりしてるんだから」
次々に聞こえる少女の声に騎士が目を向ければ、
五、六人の様々な髪型、髪色をしたアコライトの娘達が、謝ってきた少女の後ろに続いていた。
「ごめんなさーい」
「失礼しましたー」
少女達に口々に謝られ、騎士が何て返すべきかと悩んでいるうちに、
彼女達は華やかな雰囲気を引き連れて遠くへ去っていった。
ぽかんとして見送っていた騎士だったが、
その耳に、彼女達の華やかさとは程遠い、聞きなれた男の声が届いた。
「おーう、いらっしゃい」
慌てて騎士が部屋に目を向ければ、焦げ茶の髪を長めに伸ばした、黒いプリーストの法衣をまとった男が、
胸に沢山の花束を抱えて寝台の上に起き上がっていた。
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