◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第2巻◆
[28:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:01:28 ID:vzm3Wxfg)]
止まっていた手をまた動かし、プリーストの髪をまとめながら、
ようやく気持ちの落ち着いた騎士が訊ねた。
「怪我、どんな具合?」
「んー、足はもうちょっとで治るってさ。腕は骨折だからまだ時間掛かるって」
「そっか……」
呟いて、騎士は手に持った髪紐で、プリーストの髪を頭の高い位置で結わえた。
「サンキュ、やっぱまとまってると楽だな」
プリーストが礼を言ったが、騎士は俯き、搾り出すような声を上げた。
「……何礼なんか言ってんの?」
酷く沈痛な風情の声に、プリーストは軽い調子で答えた。
「そりゃ、髪結わえてもらったんだし」
「そうじゃなくてさ!」
騎士は声を荒げた。
「腕の怪我も足の怪我も、俺が魔物の群れに突っ込まなければ避けられたんだよ!」
プリーストの怪我は、騎士と狩りに行った時に負ったものだった。
魔物が大勢潜んでいる場所に、騎士が突っ込んでいき、それを止めようとしたプリーストも結局は騎士に従った。
その結果二人ともカプラサービスのお世話になったのだが、勿論それは死なずに済むという程度でしかない。
傷が癒えるという事ではないのだ。
突っ込んでいった騎士自身は、あちこちにあざやら擦り傷やらを作る程度で済んだのだが、
従ったプリーストのほうは、右足首を挫き、左腕を骨折するという、かなり重い怪我を負っていたのだ。
「何で怒んないんだよ? 見舞いなんてふざけてるって怒鳴らないんだよ?」
叫びに近くなった声をあげる騎士に、プリーストは背を向けたままうーんと首を傾げた。
「あれよ、付き従った俺の責任ってのもあるわけだし。やばいとは思ったけどさ」
のんびりした様子でプリーストが答えると、騎士も幾分落ち着きを取り戻したのか、
やや躊躇いがちに訊ねた。
「……じゃあ、何で付いてきたんだよ。やばいと思った時点で逃げて良かったのに」
言った後、これじゃあ八つ当たりだ、と騎士は思った。
けれどプリーストは気を悪くした様子もなく、さも当然といった様子で答えた。
「だって俺だけ逃げてお前死んだら嫌じゃん」
その言葉があまりにも自然で、騎士は一瞬言葉を失った。
充分過ぎるほど間を置いてから、騎士はようやく口を開いた。
「……お前が逃げたら、俺だって逃げるっての」
「そうかー?」
じゃあさ、とプリーストが訊ねる。
「お前、俺がピンチになってたら自分だけ逃げる?」
「んな訳ないだろ!」
騎士の答えに、プリーストはうんうんと頷いた。
「だから、俺も逃げないよ」
あっさりと答えるプリーストに、騎士はなお言い募る。
「でも、俺は騎士だから……」
「それ以前に、俺の可愛い彼氏クンなわけ」
騎士が言い終える前に、プリーストの言葉がそれを遮った。
「だから、俺はお前を見捨てないよ」
そう言いきると、プリーストは騎士を振り返った。
とても、穏やかな表情だった。
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