【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
[201:続続199(2011/03/29(火) 19:33:54 ID:ggMpie66)]
White side story 2
私は今日もいつもの木陰に座っていた。
いつもと違ったのは、昨日のウォーロックの男性の顔が頭に浮かぶこと。
優しそうな瞳、真っ黒な長い髪、穏やかな声。
きっと昨日声をかけてくれたのは単なる偶然で。
その偶然は続かないことを私は知っている。
それなのに何故か期待してしまう。
またあの優しそうな瞳で、穏やかな声で
『失礼、もし良ければ私達と何処か狩りに行きませんか?』
そう、こんな風に話しかけてくれたら。
幻聴が聞こえるなんて、どうかしてしまったに違いない。
「ブランさん、聞こえてます?」
ふと顔を上げるとそこには、昨日知り合ったばかりのウォーロックの男性とルーンナイトの女の子が立っていた。
昨日と同じで、二人一緒に。
「……ごめんなさい……考え事をしていて……」
「良かった。今日はタナトスなんですけど、ご一緒にどうです?」
「ブランさんが来てくれたら皆喜びますよー!」
彼はまた私を狩りに誘ってくれた。
これもまた、偶然だと思った。
「……はい……ご一緒させて下さい……」
この偶然はきっと幸運なんだろう。
そう思って、狩りに行くことを承諾した。
少しでも彼と話していたい。
なんとなく、そう思ってしまうから。
この日の狩りが終わったあとも、彼らは私を食事に誘ってくれた。
この日も私はそれを断った。
それでも、次の日も、その次の日も、彼らは私を狩りと食事に誘ってくれる。
そんな日々は楽しくもあり、辛くもあった。
彼と話している僅かな時間はとても楽しいけれど、その度に彼らの仲の良さを再確認させられる。
いつの間にこんなに惹かれてしまったんだろう。
彼と話していると自然と笑顔になってしまう。
自分の心に聞いてみても、答えは出てこなかった。
Red side story 1 (ルーンナイト視点)
彼とはいつからかずっと一緒に狩りをするようになっていました。
それが当たり前で、これからもずっと一緒にいられると思っていました。
でも、最近その当たり前が当たり前じゃなくなってきている気がしました。
「最近シューさん、いっつもブランさんを狩りに誘いますよねー?」
「アレだけの支援をほっとくわけないだろ?」
「まぁー、支援も上手ですし、美人ですしねー」
「美人は関係ないだろ」
ひょんなことから狩りに誘った女の人。
美人で、支援も上手。
彼が彼女に惹かれるなんて、よく考えたらすぐにわかること。
よく考えずに行動した結果が、こうなってしまっただけの話です。
「じゃー、なんでいっつもご飯に誘うんですかー?」
「…特に理由はない…」
あの人を食事に誘うのは、何故なんでしょう。
毎回断られるってもうわかっているはずなのに。
理由が無かったら、そんな事しないはずです。
「シューさん、嘘は良くないですよー?顔に『あの人の事がもっと知りたい』って書いてありますー!」
「アホか」
ペチン、と頭を叩かれました。
私なりにカマをかけたつもりでしたが、いつもの調子で返されてしまいます。
いつものように、優しく叩かれる頭。
本当は叩かれるより撫でて欲しいけれど、彼はそれには気づいていません。
「いいじゃないですかー!臨時広場で偶然出会って、恋に落ちるって素敵ですよー?」
「いや…恋じゃないだろ」
「シューさん素敵ですからー、なんとなく、ブランさんの気持ちがわかりますー」
「何でブランが俺に惚れてる設定なんだよ」
偶然出会って、偶然恋に落ちる。
本当に素敵なことだと思います。
他人同士だった人にいつしか惹かれて、その人の一挙動が気になって。
きっとあの人は彼に惹かれているし、彼もあの人に惹かれ始めています。
なんとなくそう思うのは、私も彼が大好きだから。
そんな風に考えていると、もう一度頭を叩かれました。
私は悪びれるようにチロリと舌を出し、悪戯っぽくウィンクしてみる。
そんな仕草にも、彼はほとんど無反応。
「設定っていうかー…わかるんですよー」
「だから何でわかるんだって」
鈍感、って言うんでしょうか。
こんなにずっと一緒に居るのに、私の想いに気づいてくれません。
やっぱり言わないとダメですよね。
言わないと、あの人に先に言われちゃいそうですから。
「だってー…私もシューさんの事好きですからー、わかっちゃいますよー?」
「……は?」
素直な気持ちだったから、すぐに言葉が出てきました。
貴方が好き。
好きだから、他の人が貴方を好きなこともわかる。
そんな小さな言葉でも、紡ぐのは気恥ずかしくて、顔が真っ赤になっているのがわかります。
「シューさん、私は貴方が好きなんですよー」
「お前…しれっとそんな事言うか?普通」
「だってー…今言わないと…シューさん、ブランさんに取られちゃうからー…」
別に今じゃなくても良かったのかもしれません。
だけど、動き始めた車輪を止めるにはすぐにブレーキが必要です。
私の想いは、あの人には負けていないと思います。
「私じゃー…ダメ…ですかー…?」
恥かしくて伏せていた顔から、視線だけ上に向けて彼を見る。
喜んでいるというより、驚いているような表情。
やっぱり、私の気持ちには気づいていなかったんですね。
それがちょっぴり、悔しい。
「あー…うー…答え、今度でいいですからー…ちゃんと、聞かせてくださいねー…?」
「あ、おい!ちょっと待て!」
多分すぐに答えをくれることはないと思う。
そう思って、ううん、そう思いたくて蝶の羽を握りつぶした。
拠点にしているプロンテラの宿屋に戻ってベッドに突っ伏すと、頭の中は彼の事で一杯になっていました。
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