◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
[90:ノビ&ウィズ:1(2009/10/11(日) 19:51:44 ID:zUjjg4T.)]
静かな宿の一室に、ぱさり、と紙を繰る音が響く。
遅い朝の光が入り込む窓辺で、ウィザードの男が本を広げていた。
部屋に注がれる日差しこそ暖かいものの、窓の向こうでは、冷たい秋の風が吹いているのだろう。
ひやりとした空気に、ウィザードはそっと首を竦めた。
「……先輩、これは酷いっすよ」
先輩、と呼ぶ声に、ウィザードは追っていた文字から目を上げた。
省略9
[91:ノビ&ウィズ:2(2009/10/11(日) 19:52:45 ID:zUjjg4T.)]
本を読んでいるウィザードの表情が、随分と険しいことに気がついたのは、朝食の後だった。
先輩と慕うその人が、元々にこやかではないことなんて、ノービスは嫌というほど理解していた。
それにしても、ただの魔術書を読む表情にしては、ウィザードの表情はあまりにも剣呑に過ぎた。
「先輩、もしかして肩凝ってません?」
ふと思いついて尋ね、拒否するウィザードをなだめすかし、肩揉みをさせてもらうに至ったのが、数分前。
拒否するぐらいだから、大したものではないだろうと思っていたのだが。
省略5
[92:ノビ&ウィズ:3(2009/10/11(日) 19:54:23 ID:zUjjg4T.)]
「何だ?」
気付いたウィザードが、窓の中からノービスを見つめてくる。
「……いや、凄いなって思っただけです」
そう答えて、ノービスはウィザードの後ろ頭に視線を落とした。
何か言いたそうな顔をしたウィザードだが、結局、それ以上は何も言わずにまた読書に没頭した。
ウィザードが本に意識を向けたのを確認して、ノービスはちらりとウィザードの顔を盗み見た。
省略9
[93:ノビ&ウィズ:4(おしまい)(2009/10/11(日) 19:55:37 ID:zUjjg4T.)]
口元が緩むノービスに、ウィザードが気付いた様子はない。
それでも、ふと何かを思い出したかのように、彼はノービスに声をかけた。
「おい」
「何ですか?」
にやけた表情を慌てて取り繕って、ノービスは答える。
窓の中のウィザードは、自らの肩に置かれた手と、ノービスの顔を交互に見やってから、こう尋ねた。
省略19
[94:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2009/12/23(水) 20:21:55 ID:X3DXkAus)]
プリーストのディノは何度目かわからない溜息をついた。
食卓の上で湯気をあげているのは、クリスマスターキー。
戸外からは楽しげなざわめきが聞こえる。
今夜はクリスマスイヴ。
迷いながらも買ってしまったキャンドルに火をつけて、ディノは恋人の帰りを待っている。
「……身から出た錆じゃないか」
省略86
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