◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第2巻◆
[25:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:00:11 ID:vzm3Wxfg)]
一つの扉の前で、鎧姿の騎士の青年はもう五分近くも立ち尽くしていた。
剣士時代から良く言えば勇敢、悪く言えば無謀なことで知られていた彼だったが、
その一つの扉を開けるには、どうしても勇気が足りなかった。
どうしようかと腕を組み考え込んでいると、騎士はふと、自分が手ぶらであることに気付いた。
見舞いに――それもとても大切な相手の見舞いに来たというのに、彼は花の一つも持っていなかった。
迂闊だったと顔をしかめつつ、騎士は内心で安堵していた。
省略22
[26:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:00:41 ID:vzm3Wxfg)]
未だぼんやりとした顔のままの騎士が部屋に入ると、プリーストはいきなりで悪いんだけど、と口を開いた。
「これ、どっか置いてくんない?」
そう言いながら、プリーストは目で胸に抱えた花束の山を示した。
騎士が受け取ると、花束の下から、白い三角巾で首から吊るされたプリーストの左腕が露わになった。
今は布団の中にあるので見えないが、プリーストの右足首にも包帯が巻かれている事を、騎士は知っていた。
ほんの少し騎士の表情が歪んだのだが、プリーストは気付かなかったようだ。
省略19
[27:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:01:03 ID:vzm3Wxfg)]
さらさらと、焦げ茶色の髪が小さな音を立てる。
無言のまま、騎士は手に持ったブラシでプリーストの髪を梳いていた。
その目元はどこか苦しげに細められているが、勿論、背中を向けているプリーストには見えない。
「あー良かった、マジ助かるわ」
寝台に座り込んだままのプリーストは明るい声でそう言うと、けどさ、と付け加えた。
「実は初めからお前に結んでもらう気マンマンだったんだけどね。
省略26
[28:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:01:28 ID:vzm3Wxfg)]
止まっていた手をまた動かし、プリーストの髪をまとめながら、
ようやく気持ちの落ち着いた騎士が訊ねた。
「怪我、どんな具合?」
「んー、足はもうちょっとで治るってさ。腕は骨折だからまだ時間掛かるって」
「そっか……」
呟いて、騎士は手に持った髪紐で、プリーストの髪を頭の高い位置で結わえた。
省略40
[29:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/09/23(金) 18:02:30 ID:vzm3Wxfg)]
優しい笑みを浮かべるプリーストに見つめられていた騎士は、不意に我に返ると、唇を噛み締めて俯いた。
「……お前って、何でそうなの」
掠れた声で、騎士が呟く。
肩が小さく震えていた。
「俺は、もう、顔も見たくないとか、二度と来るなとか、そういう事言われたって仕方ないって思ってたのに。
怖くて、見舞いにも来れなかったのに」
省略49
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